資金調達と栄えあるW受賞、のち日本の乾燥した空気にやられて声が出なくなったという、内容の濃い2週間の出張日記

インド5都市周遊〜バンコク乗り継ぎで大阪そして東京という行程で2週間という出張を終えてようやくカンボジアに帰ってきました。年中クソ暑いカンボジアから微妙に肌寒いデリーに付いたらイミグレが激混みで入国に2時間も掛かって、繁田さんに無理言って入れてもらっていたアポをすっ飛ばすという、いかにもインド的な出だしでスタートし、その後も日替わりで飛行機移動する各都市の気温が全然違うというインドの大きさを見せつけられつつ、最終地コルカタ空港を深夜2時(日本時間早朝5時半)発という疲れた身体に鞭打つような便でバンコクを経由し、夕方4時に到着した大阪は最高気温6度とか。

しかも預け入れするような荷物を持ってたら移動に邪魔だし時間も無駄なので、機内持ち込みサイズのスーツケースに入る分しか服を持っていかなかったから、日本到着時の僕の服装はユニクロのフリースにウルトラ・ライトダウンの2枚だけ。翌日にコートを購入するまで関西で一番薄着な男だった自信があります(笑)

まぁ、そんな出張に出発する前の1月31日にAGRIBUDDYは無事に、というかようやく資金調達を終えプレスリリースを配信しました。
* モバイルアプリでカンボジアなど新興国の農家の資金管理を助ける「Agribuddy」、iSGSや加藤順彦ポール氏らから73万ドルを資金調達
http://thebridge.jp/2017/02/agribuddy-730k-funding

* Agribuddy nets $730K in funding
http://m.phnompenhpost.com/business/agribuddy-nets-730k-funding

* クメール語でもニュースになりました。多分、、、iSGS Investment Works Incって書いてあるから調達の記事のはず(笑)
Agribuddy ទទួលមូលនិធិ$៧៣ម៉ឺន

出張中にブログでも発表しようと思ってたのですが、色々と自分に言い訳をしまくりカンボジア帰国まで伸ばしてしまっていたら、加藤さんが先にブログに書いてくださいました。
http://katou.jp/?eid=575

文中に「同社はカンボジアを創業の地として起こしたスタートアップで、今回の増資は足掛け約1年にわたって代表北浦と二人三脚で取り組んできました。正直いうと、かなりの難産でした。やっぱ東南アジアの辺境で日本とほとんど関係のないスタートアップってのはいろい(略 」と書いてくださっていますが、道中紆余曲折いろいろありまくりで大変でした。今回増資を引き受けてくださったみなさまも然ることながら、追加で増資に応じてくださった加藤さんや、影に日向に手をつくしてくださった既存株主のみなさまにも本当に感謝の念が絶えません。本当に多くの人に支えられながら、大きな目標に向かって走らせていただいているということを改めて実感する機会となりました。

そんな僕達が、どういうことをAGRIBUDDYという事業を通して成し遂げたいのか、ということを多くのみなさまの前で発表するというのが、今回の日本出張の主な目的でした。それは日本総合研究所と三井住友銀行が主催する日本最大級のビッチコンテストと銘打たれた「未来2017」です。
https://mirai.ventures/

昨年12月に東京の三井住友銀行本店で行われた二次予選を無事に通過し、今回は地元大阪はリーガロイヤルホテルでの最終審査会。
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三井住友銀行からは橘副頭取、日本総研からは渕崎社長が出席するという超豪華布陣のこのイベントでは、非常に光栄なことにSMFG賞と最優秀賞のダブル受賞をさせていただくことになりました。
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せっかくの晴れ舞台なのに、捉えられた指名手配犯のような顔してますね。。。ちゃんと笑顔の練習しときます、橘副頭取すみません。。。

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実はSMFG賞を先に受賞した時点で自動的に最優秀賞の受賞は無いものだと思っていました。なので、受賞のコメントを一言どうぞと2回目に言われたときは「えーっと、なにしゃべろうか」って一瞬頭がフリーズしそうになりました(笑) っていうか、こんなことなら、ちゃんとジャケット買って行けばよかったですねぇ。

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実はこの未来2017に出していただくきっかけとなったのは、昨年の日経フィンテックでの優勝だったのですが、これもそもそも繁田さんが声を掛けてくださって実現したものでした。いやぁ本当にAGRIBUDDYは周囲の人々に支えられていますね〜。

* AGRIBUDDYが表彰されました
http://ken5.jp/kengo/archives/2415

その繁田さんにも今回からはAGRIBUDDYのDirecorに就任していただいて、カンボジアのみならずインドの地もゴリゴリと攻めていきますので、みなさまどうぞ引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。

 

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一度の失敗が人生を決めてしまうと恐れて、起業や国外への進出を恐れているすべての人へ「若者よ、アジアのウミガメとなれ」

僕自身がカンボジアを皮切りにアジア・そして世界の途上国にむけてAGRIBUDDYというサービスを提供し、アジアのウミガメとなるべく日々奮闘している一人でも有り、そして何よりも加藤さんご本人にその挑戦を「ヒト・モノ・カネ」の全ての側面でサポートしていただいている一人としては、この本に書かれていることを通して加藤さんという人物について触れないわけにはいかないだろう。

あまり内容の詳細を書いてしまうとネタバレしてしまうので割愛するが(笑)、冒頭は加藤さんが学生時代に先輩たちと一緒に起業して一世風靡したにも関わらず、大卒一年目に事業モデルの前提となっていたルールが根底から変更されて倒産するという、まさに『起業=リスク』という事例そのままのひどい目に合うといったエピソードが披露されている。まぁ普通の人であればここで人生が詰んでしまって、一生「起業なんてしないで新卒で就職していれば良かった」と悔やみながら過ごすことになるんだろうと考えるのかもしれない。

世間の殆どの人は、事業で失敗すれば復活することなんて不可能でその後は貧しい生活が待っている、と思い込んでいる。ところがそれは、全くの思い込み違いも甚だしい話なのかもしれない。

僕はありがたいことに加藤さんを通じて、このときの「学生起業〜倒産」を一緒に経験した人々とご一緒させて頂く機会が多いのだが、みなさん上場企業のオーナー社長だったり役員だったり、むちゃくちゃ儲かるビジネスをやっていたりで、誰も彼もが大成功しているという一種異常な集団となっている。『そもそも才能のある人達が同じ時期・同じ場所に集まったから、その後も大復活が出来たのか、それともこのような経験をしたからこそみなさんの今が有るのかどっちなんだろう』と考えたり、実際にそのように質問させていただいたりしたことも有るけれど、多分答えは後者なんだろうと僕は思っている。

殴られたことのないプロボクサーも、転倒したこと無いプロスキーヤーも、クラッシュしたことのないプロレーサーも絶対に居ない。事業だって同じことだろう。そして失敗は若いときほど傷は浅く治りも早い。これこそが加藤さんが積極的に若い人たちに話をしに行く最大の目的だろう。

加藤さんには、AGRIBUDDYの資金調達で投資家回りをご一緒頂く機会もまた非常に多いのだが、とんでもなくタイトなスケジュールを押し込んでくる。実際にタイトすぎて加藤さんと一緒に電車の駅構内をダッシュしたことも何度も有る(笑) っていうか、加藤さんがダッシュするから僕も走るしか無いわけだけれど、僕が加藤さんくらい有名な人だったら平気で相手を待たせてしまっていただろう。この実直さも加藤さんの魅力の一つなんよな〜とか学ばせてもらいながら、ふと気がつくと空いた1時間弱を割いてネットで連絡してきた見ず知らずの学生と待ち合わせをして、真剣にアドバイスをしたりしている。

多分、知っている人は多いと思うが加藤さんはTwitterとかFacebookの投稿数も非常に多い人だ。で、四六時中誰かと会っている。なのにも関わらず僕からのメッセージなどに関しては、ほぼ即レスだ。レスが返ってこないときは多分飛行機の中で物理的に返信出来ないときくらいなんじゃないだろうか(笑) 夜中まで事業の相談に付き合ってもらったことも一度や二度ではない。それくらい多忙なのに、まだ新たな見知らぬ若い人たちと時間を見つけては会おうとしている。

実は僕自身が、加藤さんにTwitterを通して連絡を取って会ってもらった『”元”見知らぬ人』の一人でも有る。残念ながら若くは無かったけれど。そして、そのことがきっかけになって事業に出資をしていただき、様々なピンチを一緒に切り抜けてもらい、AGRIBUDDYという1アイデアを実現するチャンスを作ってもらって、さらにはそれを本格的に事業化するための提案をしてもらって今に至ってます。

ただでさえスケジュールがいっぱいの加藤さんには怒られるかもしれないけれど、若い人はもっと臆さずに加藤さんに連絡を取ってみるべきだと僕は思う。まずは本を読んでみて、何か感じるところが有ったのであれば、次は実際に会いに行ってみるべきだろう。そしてぜひ、どんな手段を使ってもチャンスを作って加藤さんとマンツーマンで話す機会を手に入れてほしい。こんな面白くて、バカ正直で、若い人に対して一生懸命なおっさんって、そうそう巡り会えるものではないと思うから。

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土地境界線と国境線

日本のそれとは比べ、著しく境界線が曖昧なカンボジアの農地では、ちょっと気を抜くとすぐに横の土地の持ち主が勝手に境界線を数十メートルもはみ出して自分の作物を植え始めたりする。もちろん見つけ次第すぐに地域の長に報告してから、相手の作物を抜き去り、勝手に移動された境界杭を元に戻したりするのだけれど、時にはその場に居合わせた相手との間に不穏な空気が流れたりすることもある。

もちろん誰だってトラブルは嫌だけれど、理由も無く自分の財産である土地を勝手に持っていかれるようなことは避けなくてはならない。幸いにもお互いに武器を持っていない一般人同士だから、今のところ大きなトラブルに発展したことはないが、自分の土地を守るという当たり前の行為に違和感を感じる人は居ないと思う。

ところがこれが、同じように隣の農家とのトラブルでも、相手農家と農地が国境を跨いだ隣国の場合だと、そう簡単には事が運ばない。なんてたって、土地の境界線イコール国境線というわけだから、ちょっとした揉め事でも機関銃を持った兵士が臨戦態勢で吹っ飛んでくる事態に発展してしまう。

そんな時に自国の警察や行政の長を呼んでみたところで、相手は「こちらが国境線を勝手に踏み越えて領土を侵食しようとしている」という無茶苦茶な理屈で、軍人が即射殺も辞さない覚悟でやってきてるんだから、なんの役にも立ってくれない。

日本は全ての国境線が海上に有るために、誰一人として「自分の財産である土地の境界」と他国との国境が同一である人は存在しないわけだけれど、ここカンボジアには(そしてお隣のベトナムにも)そんな微妙な立地に農地を所有してしまっている農家がたくさん居る。

この平和で経済の順調な発展が何よりも重要で、且つ政府間同士の繋がりが非常に深い(というか、カンボジア政権がベトナムの傀儡政権だとすら思われているフシも有る)ベトナムとカンボジアでさえ、今この瞬間にもこんな一触即発の自体が日常的に起きている。

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ベトナムの軍人と対峙するカンボジアの農家たち(Voice Of Americaより)
http://learningenglish.voanews.com/content/clash-vietnam-cambodia-border/2845262.html

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右側がカンボジア、左側がベトナム(Internatioanl Business Timesより)
http://www.ibtimes.co.uk/clashes-between-authorities-civilians-vietnam-cambodian-border-leave-dozens-injured-1508879

僕にはどちらの人々の主張が正しいのかはわからない。ただ残念ながら、双方が正しいということはあり得ない。一方の主張が正しいということは、相手の主張は端から間違っている、というより意図的に財産を奪いに来ていると考えるほかに疑いの余地がない。僕の農地の隣の農家と同じで、何も文句を言われなければラッキーという、浅はかで恥も外聞も無い「やったもん勝ち」のルールで生きている人々は、世界には僕たちが想像している以上に多いのも、これまた残念な事実だ。

僕は戦争なんて絶対に反対だし、誰かを殺したり殺されたりするのもまっぴらゴメンだ。国境なんてむしろ無い方がいいと思っているし、国家やその領土が存在している事自体がややこしい事態を巻き起こしている最大の要因だとすら思っている。ところがこれが僕個人や自分の家族、そして親しい仲間たちという単位で考えてみれば、その財産を不法に第三者に奪われそうになったとするならば、考えるまでもなくそれを守ろうとするだろう。例え相手が暴力をちらつかせてきたとしても。

カンボジアにだって、個人の資産を保護するための法律は存在している。その法を運用するための司法機関も(デタラメだが)存在している。また国家間にも国際裁判所や国連のような機関が存在していて、そこには明確にやってはいけないルールが明記されている。しかしながら、なぜかいつもそれを平気で踏み越えて「文句を言われなければラッキー」、もしくは「多少文句を言われたところで痛くも痒くもない」と考えて色々と仕掛けてくる連中が後を絶たない。

自分たちからこのような不法行為を仕掛けていくのは言語道断だが、自分がやらなければ相手もやってこないというのは幻想でしか無い。だからこそ、相手が仕掛けてきた時にどうすればベストなのかということについては、常に考え続けなくてはならない課題なんだろうと僕は捉えている。

さて、カンボジアのフン・セン首相はオバマ大統領宛に、この国境問題の紛争解決に向けて、1963年に取り決められた国境線の地図を元にカンボジアの正当性を証明してほしいという手紙を書いたみたいだけれど、はてさてどうなることやら。。。

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