ドラゴンボールで戦闘力を数値化していたように、人の素晴らしさを数値化することが出来ればいいのになっていう考察です

先日もFacebookに『スーパーハイスペックな人たちが、現在の収入を大幅に切り下げてもいいから、大企業の歯車として高収入のために働くことを辞めて、自らのスキルで世界を良い方向に変えるような仕事をしたいと言ってAGRIBUDDYに参加し始めてくれている。これはうちだけの話ではなくて、世界的に大きな潮流になりつつあると思う。これまで報酬と言えば「お金」一辺倒だったのが、現在は「しっかりと生活出来るお金」と「社会的意義とかやりがい」のような目に見えない価値を合わせたものに移り変わってきているのをヒシヒシと感じています』と投稿しましたが、改めてAGRIBUDDYが途上国農村に対して創造出来る価値、そして農村の人々の現状なんてことについて色々と思いを巡らせてみました。

カンボジアやインドなど途上国の現状であり、20年ほど前までの日本でもあり、まだまだ世界で最も主流になっている「人を評価する価値の軸」は、世界の人々が共通認識として判断できる数値である「お金」がメインとなっています。月収20万円より50万円の方がエライし、年収1,000万円を超えるとさらにエライ。資産1億円より10億円、1,000億円と、数値が大きいほど尊敬を集める。フォーブスでの世界資産家ランキングや日本にも以前存在していた長者番付など、この「お金という数値」を使った人物評価ランキングには事欠かないことが、その証明でもあると考えています。

このようなランキングに載るような、誰もが知る「巨大な数値を持つ人々」はともかくとして、そこまで行かないけれどそれなりに大きな数値を持っている大多数の人々が稼いだお金を何に使っているのかというと、自分がどれくらいの数値を持っている人物か、即ち価値の有る人物なのかを第三者にわかりやすく知らしめるための「評価アップアイテム」の購入です。男性であれば高級時計に高級車、女性であればブランドバッグや宝飾品などなど。。。「その商品を買うことが出来るということは、それなりの収入があるのだろう」とか、「このプレミアム・アイテムを手に入れることが出来るということは、かなりのステイタスや特別なコネクションがあるのだろう」ということを第三者に認知してもらうということがメインの目的で、実際のその商品の使い勝手の部分、例えば時計なら時間を正確に知るとか、バッグであればたくさんのものを効率的に収納して持ち運びできる、という部分以外に大きな付加価値を付けてお金を支払っています。ようはセルフ・ブランディング(もしくは承認欲求を満たす)のために「すでに世間で認知されているブランド」の力を利用しているわけです。

もちろん世の中には、お金という数値以外の数値でわかりやすく評価してもらうことが出来る人々も多数居ます。例えばイチローや羽生名人など、生涯打率○○割とか初の永世七冠とか。他にも100mを9秒で走るとかウインブルドン1位とか。こういった人々はお金という数値とは全く違う数値で評価を受け尊敬を集めるので、収入がいくらだとか資産がいくらだとかで評価されることがほぼありません。

そして最近はテクノロジーの進化により、僕たちが住む世界には他にも評価を受けることが出来る数値が沢山生まれてきました。Youtubeの視聴者数とかツイッターのフォロワー数などが代表例だと思います。今までは目に見えなかった価値が可視化されることによって、その人のことをよく知らない第三者でも「その人の価値」を数値として理解出来る用になったとも言えるでしょう。そしてまたこの数値は「世界人口70億人中の何番目」というランキングが必ずしも必要なく、その人のことを評価している人が○○人も居るということを可視化することにより、人の尊厳や承認欲求を満たすことが出来るという点も大きな特徴の一つでしょう。

最近の若い人は消費をしなくなった。お金を稼ごうともしなくなった、それは生まれたときからモノに囲まれて満足しているからだ、とよく耳にしますが、僕はその最大の理由は「お金という数値」以外で評価される選択肢が増えたからに他ならないと考えています。僕たちが若かった頃は人(特に関係性の薄い第三者)から数値的に評価してもらえる選択肢が少なかっただけなんです。イチローや羽生名人のように特別な才能が有るわけでもない一般社会の人々は、世間から少しでも良い評価をされるために(というか自己承認欲求を満たすために)は、お金という数値が大きいということをアピールするのが最も効率的だった、ということに過ぎないと考えています。ところが今は、その他の評価を得るための選択肢が増えたお陰で、「前近代的な評価軸であるお金という数値」を全面に押し出してアピールするのは、むしろ格好悪いと取られてしまい逆に評価を下げる傾向すらあるので、より若い人(と現在の評価軸を良く理解している人)はこのようなアピールをすることを意識的にも無意識的にも避けています。

なので、日本のような社会では単純にお金を稼ぐ、もしくはたくさん持っているという「お金という数値」では、世間の評価を得たり自己承認欲求が満たされたりしにくくなっているだけで、そもそも人が持っている自己承認欲求が無くなったわけではなく、そのような欲求を持たない無欲で素晴らしい生き物に生まれ変わったわけでもありません。

さて、僕が暮らしているカンボジアやインドでは、まだまだお金という数値が人の価値を決める評価軸です。中国もまだまだそうでしょう。いかに沢山数値を稼いでいるか、いかに大量に数値を持っているか、これが最大に自分の評価を高めることに繋がるので、たとえ悪いことしてでも金を手に入れれば世間からの評価が上がります。だから政治家や公務員が平気でド派手な時計や指輪をしてロールスロイスを乗り回しています。自分を最大限評価して欲しいという欲求については、彼らも僕たちも、日本人もカンボジア人もインド人も変わりはありません。違うのは評価される価値の軸であり、評価軸の選択肢がこのような国々ではまだまだ少ないということだけです。

では僕たちAGRIBUDDYが対象としている僻地に住む少規模農家の人々はどうでしょうか?彼らはどのような数値で評価されているのでしょうか?

貧困ラインにあえぐ1日2ドル以下で生活している人々、世界の収入レベル下位○○%に当てはまる人々。。。お金という数値を軸にして彼らの価値を判断する以上「ほぼ無価値な人」「もしくは世界で価値がない方から数えたほうが早い人々」ということになってしまいます。しかも彼らは「お金という数値の大きさが最も人の評価を高める」という社会で暮らしています。このような状態で、人は自分に自信を持って暮らすことが出来るでしょうか?彼らが圧倒的な無力感に苛まれたからといって、彼らを責める権利が僕たちにあるでしょうか?

「あなた達はどんなに頑張っても評価ランキングの上位どころか、みんなが価値が有ると思っている人々の数値の100分の1に届くことすらないけど必死になって頑張れ」と言ってあげることが出来るでしょうか?

僕はAGRIBUDDYを立ち上げる以前にプランテーション事業をおこない、数多くのカンボジア人労働者を雇用していた時からずっとこのことについて頭を悩ませ続けてきました。少しでも少規模農家の収入を増やし、お金で解決出来ることの選択肢を増やすために何をすればいいのかと考え続け、それを一つ一つ実現しようとAGRIBUDDYを立ち上げ日々実践を続けているわけですが、それとて彼らが「お金という数値」で人の価値を計測されるという評価軸の中で生きていく限り、彼らが「価値がある人物ランキングの上位」に届くほどまでお金を稼げるようにすることはほぼ不可能であると言わざるを得ない現実を突きつけられてきました。そうです、僕たちが取り組んできた「お金で解決出来る」ことの中に「彼らの世間からの評価及びそれに伴う自己の尊厳を劇的に引き上げること」は含まれないのです。

もちろんみなさんは、このような少規模農家が人としての価値が低いわけがないのを良く知っています。僕たちは多くの素晴らしい少規模農家の人々を知っています。お金はないけれど周囲の人々から尊敬を集め信頼されている人々を知っています。では、どうすればこのような人々を正しく評価するようことが出来るようになるのしょうか?誰が見てもわかるような基準となる数値を作ることは出来ないでしょうか?例えばドラゴンボールでは戦闘力が数値化されスカウターを通して可視化されていましたが、まさにあのような形で「人としての素晴らしさ」とか「優しさ」とか「奉仕の精神」だとかをまとめて数値化し、誰にでも見えるように可視化することが出来ればどんな世の中になるのでしょうか?

AGRIBUDDYは、少規模農家の暮らしを良くするために今よりもお金を稼ぐことが出来るようなサービスをこれからも提供し続けていきます。そして、それと同じくしてお金とは全く違う評価軸になる数値を創造することにより、「お金は稼いでいるけどAGRIBUDDY経済圏内での評価はそれほど高くない人」も居れば「大してお金は稼げていないけれどAGRIBUDDY経済圏内で絶大な評価を受けている人」も居る、というような「お金以外の評価軸で人々の尊敬を集める事が出来る」ような仕組みの構築に挑戦しようと考えています。そして願わくばAGRIBUDDYを利用してくれる皆さんが「絶大な評価」を受けるために行動することによって、結果的に金銭的な利益も得ることが出来るようになるという世界を、AGRIBUDDYの仕組みで自動的に実現するサービスの構築を目指していきます。

一人も多くの人が尊厳を持って生きている世界を創るために、AGRIBUDDYはまだまだ小さく力のないスタートアップです。だから今も、そしてこれからの多くの方々の協力や応援、アドバイスを必要としています。我こそはと思う人は、ぜひ下記までお気軽にご連絡ください、お待ちしています!
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