格差のない世界

もはや1万円も出せば飛行機に乗って外国に行ける。スマホも1万円出せば5インチ画面くらいのかなりハイスペックなモデルが買えるし、インターネットには無料であらゆる情報が転がっている。アメリカの最高峰の大学の授業だってオンラインで見られるし、世界中に居る人たちとビデオチャットを何時間やってても無料。手紙はメールで代用できるし、それに写真や動画も添付出来るから、コミュニケーションコストはほぼ無料になった。そして写真や動画などのデータを置いておくのもほぼ無料になってきたから、PCのメモリーにも金が掛ける必要なくなってきた。

数百万の時計してなくったって「正確な時間」がわかるし、50インチとかの大画面テレビだって10万円しない。ファストファッションのお陰で、金を掛けずにおしゃれを楽しめる。別荘なんて持ってなくてもAirbnbで、世界中のリゾート地の豪邸を数日単位で借りることが出来る。

なんていうか、金が無いと出来ないことがどんどんと減っていっているような気がするよね。

まだまだ世界には電気のない暮らしをしている人たちはたくさん居て、エアコンとかもないような人々も沢山いる。それにしたって、電化されていっているエリアは年々増えているわけで、カンボジアみたいな貧乏国でも車やバイクを持っている人は飛躍的に増えた。人間よりも牛の方が多そうな場所でも携帯電話が普通に繋がり、インターネットも繋がるエリアがどんどんと広がっている。

みんなは格差が広がっているのが問題だって言うけれど、僕にはどうみても「世界中から格差はなくなっていっている」ようにしか思えない。多分、僕が思うに格差が開いていると言っている人たちは「持っている金の量に差がありすぎる」ということが問題だと言っているんだろう。でも、上にも書いたとおり金を使わなくても手に入るものが増え続けている。いや、金を持っていても使えるものが減ってきていると言い直してもいいだろう。

ビル・ゲイツだって国外に移動するには数時間を費やさなければならないし、1日に食べたり飲んだり出来る量なんて、僕たちとさほど変わらない。彼らのような大富豪だって平等に歳も取るし、寝ないで24時間365日遊び続けることも出来ない。結局彼らが大金を使える先というのは、あらゆるものを無料にしていくような事業に投資するしか無いんだから、それは僕たちにとっても素晴らしいことだと思うんだけれど。

つまるところ現代において最も大きな格差といえば、人生の時間をどれだけ自分の自由に使えるか、ということだろう。で、これはもはや「お金の問題」ではなくて、それぞれの感性というか能力の問題なはずだから、誰かに文句言っても仕方がないような気がするんだけどねぇ。。。

 

 

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日本の英知を僻地に届けたい

先日の7月6日はバッタンバン大学で開催された、『ベトナム、カンボジア、タイにおけるキャッサバの侵入病害虫対策に基づく持続的生産システムの開発と普及』のシンポジウムに、民間企業の一員としてオブザーバー参加させてもらってきました。IMG_20160706_172820

これは、日本のJICAとJSTが共同でやっている『地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(通称サトレップス)』のプロジェクトのひとつで、九州大学の高州教授を筆頭に、名大・東大・東京農大・理研、そしてコロンビアに本部があるCIATなどから農作物の病害虫の専門家たちが、世界的に問題になっているキャッサバの病気被害の拡大を食い止めようと集まっています。
http://www.jst.go.jp/global/kadai/h2708_vietnam.html

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僕は、前回ハノイで開催されたキックオフミーティングにも呼んでいただき、そこでキャッサバの病気被害の拡大や、健康な種苗の拡散状況のモニタリングなどにAGRIBUDDYを利用してもらうという、非常に光栄な決定をしていただきました。で、今回はもっと具体的にAGRIBUDDYを使って、どのように農家をモニタリングするのか、実際に集められるデータはどのようなものなのかをプレゼンさせていただくために、我らがCOOのBrandonにも同席してもらいました。

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AGRIBUDDYがもっとも得意としていることは、僕たち自身も会ったこともないような僻地に住んでいる農家の人々とも直接オンラインで繋がっていること、そしてその人達といつでもコンタクトを取ることが出来ること。なので研究者の人たちが現場に出向くことが出来る機会が限られている状況下でも、一人でも多くの農家から生のデータを取得することが可能になります。

そして、そうやって集めたデータを専門家の方々に解析してもらったりした成果を、また直接農家の人々にアドバイスとして返してあげることも可能になります。このようにして、今まで「専門家の正しいアドバイス」に触れることが出来なくて、根拠の無い対処法に頼ってきた僻地の農家の生産性が少しでも上がることに、日本の英知が活用されるようになればいいなと願っています。

さて、このシンポジウムの前にはサトレップスのメンバーの方々に、先日の日経フィンテック受賞のお祝いもしていただきました。IMG_20160705_161547

「お祝いしよう、というアイデアが出たのは良いけれど、バッタンバン(カンボジアのローカル地方都市)でケーキを探すのが大変だったんだよ〜」と言いながら、開けていただいたケーキの箱。「いきなり”Happy Birthday”って書こうとされたから、ちょっと汚れちゃってるけどね(笑)」

さすがカンボジア、相変わらず外しませんねぇ。。。

サトレップスのみなさん、本当にお忙しい中こんな風に祝っていただき、改めましてありがとうございました。AGRIBUDDYがこのプロジェクトの成功の一端を担えるように、引き続きチーム一同頑張りますのでよろしくお願いします。

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パスポートの名前、間違ってるんですけどw

ともすれば未だに危険だとか貧困だとか、もしくはサバイバルな生活を強いられるのではないかというイメージをされやすいカンボジアでの暮らし向きだが、本当のところはカンボジアに来たことない人には想像できないくらい快適だったりする。

特に僕が暮らすアンコール・ワットの街シェムリアプは世界的な観光地なだけあってリゾートホテルは腐るほど有るから、ふらっとホテルに立ち寄ってプールサイドで食事をして軽くプールでひと泳ぎのような、『日本的感覚でいうところの贅沢』がむちゃくちゃリーズナブルに出来たりする。ただまぁ、普段からバカみたいに糞暑いから、わざわざ炎天下に出かけて行ってまで日向ぼっこをしようなんていう気力がもはや完全に失せてしまったのも事実だけれど。

しかし今年は本当に暑い。先日もカンボジアに比べればずっと南方の赤道直下にあるシンガポールとマレーシアに行ったら、比べようも無いくらいに涼しくてひっくり返りそうになった。どうやら10度くらい温度が低いらしい…‥。実際にシェムリアプ空港に降り立った瞬間に、サウナの中の空気と同じようなあの焼けた匂いがした。車の温度計を見ると42℃、スマホでは実体感温度50℃とかなっていたので、僕が決してオーバートークをしているわけではない。そりゃあ、この暑さじゃ人々も怠けものになっても致し方ないよなぁと思ったりもする。

やっぱり何度考えてみても、農夫の人たちがこんな暑さの中で重労働を強いられて1日たったの5ドルとかしか貰えないのに、「あいつらはちゃんと働かない」とか「すぐに怠ける」とか言ってるのは、こちらの傲慢以外のなにものでもないですよね。
http://hugs-int.com/kengo/archives/2205

で、まぁ重労働を強いられる肉体労働者の人々が怠けてしまうのは、困ることではあることだけれど僕にとっては理解の範疇の話でもある。問題なのは、というか、この実は案外快適なカンボジア生活で最も不快なのは、肉体労働者の人々以外も想像の遥か斜め上を行くくらいデタラメで大雑把だということなのよね。

例えば日本やアメリカだと、スペルミスに関して非常に気を使う。少なくとも公的書類や標識がスペルミスで放置されている例は少ないように思われる。が、カンボジアは一体どれが正しいスペリングなのかわからないくらい、一つの地名をとってもバラバラのスペルで標識に書かれていたりする。いや、確かにわかるんだけれど、そこって統一しなくていいのか?ってこちらが見てて心配になるくらい、なんとなく同じスペルならいいでしょ、的に書いてある。

ちなみに現在困っているのが僕の嫁のパスポートだ。名前のスペルが間違っているw どうもパスポートをを作る際に原本となるIDカードのスペルが間違っていたらしい。ただ間違っているだけならまだマシなのだが、以前持っていたパスポートと更新したパスポートの名前表記が違う。これはカンボジア的には同一人物かも知らんが、他国では『別人』だ。しかも前のパスポートでアメリカに渡航歴があるから、今回のパスポートで名前が違うかったりすると色々とややこしい匂いが今からプンプンしている。カンボジア人はアメリカに遊びに行くためにもビザが必要なのだが、申請者のうちビザがもらえるのが3%とかいう、東大に行くくらい狭き門だったりするので、ここで「ごめん、パスポートの名前間違ってるんです、テヘ。」みたいなこと言うと、顔洗って出なおしていとなるのは火を見るよりも明らかなような気がせんでもない。

そんなん、さっさと作りなおしたらええやん(はい、そこのキミ、決してエセ関西弁のイントネーションで読まないように)、と思うかもしれないが、そこがカンボジアの真骨頂、そうは簡単にことが運ばない。まず、そもそもの原因であるIDカードを再発行してもらう必要があるのだけれど、IDカードの身元認証をする権限のある村長とか警察とか役場のおっさんとかが色々と難癖をつけてくる。要するに金の話なんだが、そもそもが全くシステマチックにできてないので、金を払ったからといってスムースにことが運ぶわけではなく、とりあえず目の前のやつの難癖を聞く時間を短くするくらいしか効果が無かったりする。「はい、これでOK」とか言われて次の場所に行くと「こんなんじゃダメだ、◯◯と△△が足りない」と言われ、再び元のやつのところに戻ると「俺がOKって言ってるのにダメなはずがない」とか言い出したりして、埒が明かないというパターンに見舞われるパターンの発生率はJRが遅延する確率よりもはるかに高い。

これが終わってようやくIDカードを手にすると、今度は飛行機に乗ってプノンペンまで行かなくてはならない。で、これまたパスポートセンターがプノンペン市内から遥かに離れた辺鄙な場所に移動してしまって本当に不便なのですよ。なんでも聞くところによると、パスポートセンターの所長だかが以前までパスポートセンターの有ったプノンペン中心部の地価が高騰したので、そこを売っぱらって金をポケットに突っ込んで、余った金で購入できる土地を郊外に買ってそこにパスポートセンターを移設したとかいう、誠に剛の者な離れ業をやってのけたせいだとかって話だ。僕の感覚値だけで語らせてもらえるならば、多分これは真実だろう(笑)

パスポートセンターに行くと、そこでは職員がセールスに熱中している。何を売ってるかって?それは『早くパスポートを仕上げてもらう権利』だ。「普通に申し込むと安い(公示価格)が1〜2ヶ月掛かる。俺に頼めば1週間で完成するがどう?」みたいな感じのセールストークだ。さらにVIPというのがあって、こちらは特急1日仕上げ、どうやら申請書の代書まで全てVIP待遇で行ってくれるらしい。まぁ、こちらは金さえ払えばちゃんとサービスを受け取れるんだから、IDカード発行に比べれてはるかに『マトモ』だと言えないくもないのだが。

ともあれ、IDカードのスペルミスに気が付かずに受け取ってしまったがために、まだまだ新しいパスポートをもう一度取得し直すという上記プロセスを踏まなければならないと考えると、ただでさえ暑くて湯気が立ちそうな頭が完全に茹で上がってしまいかねないので、当分はそっとしておこうと思っている。

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