うるう年の思い出

4年に一度、うるう年にしか存在し無い日である2月29日の昨日は僕個人、そしてAGRIBUDDYにとって素晴らしい一日となりました。

まずはAGRIBUDDY。

AGRIBUDDYは途上国の農家と周辺関連事業者をオンライン上で結びつけることによって、現在の農業界を取り巻く様々な問題を解決しようと考えたことから、社内のいちプロジェクトとして始動し2014年11月にβ版をリリース、2015年1月に社内プロジェクトから正式にスピンオフして法人登記、そして4月にオフィシャル版のリリースという流れでこれまでサービスの構築を進めてきました。一口に「途上国」「農業」と言っても各国の政府の取り組みや各農家の状況はマチマチなのですが、その中でも最も多くの問題点が複雑に絡み合っていると思われるカンボジアでサービスを構築することが出来れば、状況がもう少しマシだと思われるその他の国々でもワークする汎用性の高いサービスが提供できるのではないかという仮説のもと、カンボジアの中でもさらに僻地の小さな州をベースに試行錯誤を繰り返し、いよいよ国内全地域はもとよりタイやベトナムなどの近隣諸国、さらにはバングラディシュやインドといった南アジアへの進出に向けて始動するタイミング到来です。

そこで、この次なる飛躍を大きなステップとするために、今の僕たちが最も必要としている「緻密かつ大胆な戦略策定」や「強固な組織づくり」を通じて世界の農業のあり方を変えるという大きな目標を現実のものにするために、知恵と力と経験を注いでいただける心強いパートナーとして、CFOとしてスタートアップだったDeNAを数千億円企業にまで育てあげ、会長在職時には横浜ベイスターズの球団買収と運営をオーナーとして行った経験と実績を持っている春田真さんと、友人のAOLプラットフォームズ・ジャパン元COO橋本久茂さんたちが運営するベータカタリスト(http://betacatalyst.jp/)が第三者割当増資の引受けをおこなってくれることとなり、昨日2月29日に契約が完了しました。

春田さんたちの参画によりチームAGRIBUDDYは、今まで以上に焦点を定めて、なおかつ大きな成果が出せるような取り組みを行っていきます。また、春田さんと橋本さんをハノイでご紹介くださったDonuts (http://www.donuts.ne.jp/) の野津さん、貴重なご縁を本当にありがとうございました。

僕個人の出来事としては、予定より2週間ほど早かったのですが娘が誕生しました。どうせ早く産まれてくるなら4年に一度しか「正確な誕生日」が来ないという2月29日だったら、まさに生まれながらにして僕の”ネタ体質”というDNAを受け継ぐことになったのだけど、さすがにそれは本能的に避けたのかお腹の中で持ちこたえて、3月1日に日付が変わった10分後に誕生してきました。どうやら危機察知能力には優れているようです(笑)

そんなわけで、会社として個人としてもまた新たなステージが始まりました。みなさま、どうぞ引き続き応援とアドバイスのほどよろしくお願いいたします。

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食中毒で入院しました

いやはや、いったい何の毒にやられたのは不明なのだけれど10年ぶりくらいに発熱しましたよ。しかも40度の大台w なんとなく頭の片隅によぎるのはホアヒンとバンコクで特大生牡蠣や生エビを連続して食べたことくらいなんだけれど、きっとその中のどれかに当たりが紛れ込んでいたんだろう。タイから帰国した当日は何とも無かったのに、就寝前になんだかエラく疲れた感じがし始めて、朝方には熱と身体の痺れでほとんど動くこともツライ状況になっていた。

さすがにこれではマズイと思ったので、さやか女史に迎えに来てもらって「在住外国人に評判がいいらしい」という町医者に連れて行ってもらった。はい、ここからはみなさまご期待の通り、カンボジア小ネタ集へと展開させていただきます。

 病気といえば、まずは採血ですよね。ベッドに横たわった僕の真上には大きなシーリングファン(こんなやつ ↓↓↓ )odelic_OCC075_M1

これがグルグルと回っていて寒いw 高熱が出ている僕にとってはむちゃくちゃ寒い

僕「すみません、寒いんですが」
看護師「私は寒くないです」
僕「??? いや、アレ(ファンを指差して)が寒いんですよ」
看護師「私は寒くないです」
僕「いやいや、僕が寒いんだよ」
看護師「それは、あなたが熱が出ているからよ」
僕の心の中「そんことお前に言われんでも知っとるっちゅーねん。。。」
僕「アレ、消してちょうだい。マジで寒いから」
看護師「NO」
僕の心の中「マジかよ、寒いのに。。。ガクガクブルブル」

(後程診察を終えてその部屋を見たら、ファンは止まってました。ありがとうございました。)

別の看護師さんが僕に向かって

看護師「韓国語は話せますか?」
僕「いえ、僕は日本人なので韓国語はわかりません」
看護師「あ、あなたは日本人なのね。問不知、問不知我錯了…」と言いながら満面の笑みを浮かべて去って行きました。

診察後に待合室で待っていると看護師さんが薬を持ってきた。
看護師「はい、これを飲んで下さい」
僕の心の中「あれ?さっきも解熱剤を処方されて『薬品の内容を散々二人の看護師に確認して』飲んだばかりなんだけれど、これって同じやつなんじゃないの?」
僕「これって何の薬ですか?」
看護師「解熱剤です♪」
僕の心の中「解熱剤です、解熱剤です、解熱剤です…(以下、無限ループ)」
僕「あの、これさっきもらって飲んだんだけど」
看護師「あらっ、ごめんなさーい」
医師「わっはっはっ」

人生全て自己責任です。みなさん途上国では病院だからといって油断しないように気をつけましょうw

お医者様の診断。血液検査の結果が出て、うやうやしく診察室に通されて。

医師「血液検査の結果ですが。。。うーむ、白血球の数値が高いですねぇ」
僕「なるほど、ということは?」
医師「白血球ですよ。知ってますか?」
僕「それは知ってます。で、どういうことですか?」
医師「白血球の数値が高いということです。ほら、この数値を見てご覧。規定の数値より高いでしょう。」
僕「それはわかったから、数値が高いとなんなの?」
医師「身体のどこかが炎症を起こしていますね。オシッコの色は何色でしたか?」
僕「わかりません」
医師「ん?オシッコですよ。知らない?」
僕「オシッコは知ってます。色がわからないです」
医師「色がわからない?なんで?してないのか?」
僕「いや、したけど色を見てないからわからないの」
医師「ふーん、色を見ていない。まぁそれは仕方ない。ちょっと口を開けてみて」
僕「あーー」
医師「おお!扁桃腺が真っ赤っ赤になっとるではないか!これだ!これに違いない!キミ、喉が痛くて堪らんだろう?」
僕「いえ、全く…」
医師「そんなはずは無い。これだけ炎症を起こしていれば相当痛むはず。いや、もしかするとこれから更に激しくなる可能性がある。扁桃腺炎だ、キミの病気は!」
僕の心の中「いや、全く喉が痛い気配とか無いんだけど、そうなんかなぁ…」

というわけで、抗炎症剤と抗生物質と解熱剤をもらって自宅に帰ってしばらくしてから、医師の言うとおり状況は更に激しくなりました。

ただしそれは喉ではなくてお腹の痛みでしたが(笑)

というわけで、嘔吐と下痢を繰り返したので翌日はロイヤルアンコール病院という外資系の大きな病院に行って診断してもらい「アメーバ赤痢」も発見されて無事に入院措置となりました。みなさんも食中毒には気をつけましょうね。

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日本と途上国の農業、それぞれの問題点

今日から8月いっぱいの一ヶ月間はベトナムのハノイで過ごすことにしました。いよいよ佳境に迫ってきたAGRIBUDDYの機能実装完了に向けて、開発速度を加速させるためのチーム作りが主な目的です。とは言え、実際のところは僕が来たところでコードの一つ書けるわけでもないので、あまりエンジニアのみんなにあれやこれや話しかけすぎて思考中断に追い込まないように気をつけようと思っていますw

さて、そんな僕たちAGRIBUDDYの対象ユーザーが暮らすアジア途上国の農業実態を色々なデータを見ながら紐どいていると、非常に興味深いことが見えてきますよ、というのが本日のお話。

まず最初に、ここ数年にわかに活気づいているアメリカの農業系スタートアップ界隈ですが、彼らがターゲットとしている北米の農家(というか農業従事者)はおよそ100万人。世界の耕作面積のおよそ10%に当たる、1億6千8百万ヘクタールという途方もない規模の農地をたった100万人で運営している訳ですね。これを一人あたりに換算すると153ヘクタール(ディスニーランド3個分)の農地が一人の農家によって運営されていて、1ヘクタール(1万平米)あたり1,600ドルくらいの売上になっています。

我らがカンボジアはというと、農業従事者数がアメリカの約4倍程度の380万人。それに引き換え耕作面積は420万ヘクタール程度なのでアメリカのなんと40分の1。同じく1ヘクタールから1年間に生産される作物の価値はおよそ1,200ドル。一人の農家が運営しているのが1.1ヘクタールくらいだから、単純に考えると年商(年収ではない)が1,320ドルくらいになってくるので、やっぱりカンボジアの農家が貧乏なことには間違いがなさそうですね。

カンボジアもアメリカも1ヘクタールあたりの生産価値があまり高くないのは、双方共に低付加価値作物(トウモロコシとか小麦とか米などのコモディティー作物)を育てているからだろうけれど、アメリカはそれを少人数超大規模で大量に生産することによって農家の利益を確保することに成功している。カンボジア(というか途上国はどこでも同じ)では、アメリカと同じような低付加価値作物栽培を人海戦術でやっているのだから、そりゃあこれではいつまで経っても農家が豊かになんてなるはずが無い。

別の意味で農業の問題が色々と取り沙汰される日本はというと、なんと1ヘクタールあたり1万1千ドルを生産しており、これだけ見るとかなりの優等生っぷりを発揮している。しかし別の角度から眺めてみると、薄々わかってはいたけれどやっぱりそうかという問題点が浮かび上がってくる。

農場従事者数 一人あたりの生産価値 ヘクタールあたり生産価値 一人あたり耕作面積
日本 1,898,920 $29,170.27 $11,725.81 2.49ヘクタール
イスラエル 60,544 $120,428.12 $20,059.70 6.00ヘクタール

上記は農業先進国として名高いイスラエルと日本の農業との比較だ。まず農家一人あたりの生産価値を見て欲しい。日本の約3万ドルに比べてイスラエルは12万ドルと4倍もの開きがある。さらに1ヘクタールあたりから生み出される価値も1万ドルと2万ドルでおよそ倍もの差がある。さらにさらに一人あたりで運営している農地面積も2.5倍近い違いがある。これをわかりやすく言葉にすると、こういうことになる。

『日本の農業は、徹底した効率化を追求すること無く、人件費の高い日本人が小さな耕作地を運営しているせいで、平均的な日本人の所得に及ばないような生産価値しか生まないような事業になってしまっている。』

すなわち、日本の耕作面積からすれば農家の数が多すぎるというのが、1つ目の問題点。3分の1まで減らすくらいがちょうどいいんじゃないだろうか。次に面積単位の生産価値が低いこと。砂漠のど真ん中の、国家予算の60%を国防費用につぎ込んでいるような国ですら、ここまで効率よく農業を行って利益を出すことが出来ているのだから、日本の農家がその半分の価値しか生み出せていないのは、やはり「あまりやる気の無い農家が必要以上にたくさん居座っている」という結論を導き出す他ないんでしょうねぇ。。。

やる気の無い農家が、本気で農業をやろうと考えている人々に農地を託して別の仕事に付いてくれれば、一気に問題が解決へと向かいそうなのだけれど、中々そうもいかない大人の事情ってものがあるのだろう。と、まぁこうやって日本の農業に関して問題点を分析してみても、やはり僕たちが何か出来そうなことはあまり無さそうだ。その点、途上国農業に関して言えば、まずそもそもの人件費が低いので、少しでも付加価値の高い作物を栽培できるようにすれば、少なくとも今の数倍は楽な暮らし(その代わり今よりちゃんと働く必要も出てくるけれど)になるはずだ。AGRIBUDDYのフォーカスはそこに有る。

そんなわけで、話が長くなってしまいましたが、ハノイの皆さん本日よりお世話に成りますので、ぜひよろしくお願いします。

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