FarmLogsが1,000万ドル調達

AGRIBUDDYがベンチマークの一つとして捉えている、アメリカの農業経営支援サービスのFarmLogsが、昨年のラウンドAでの資金調達4Mドル(約4億8千万円)に引き続き、今回のラウンドBで10Mドル(約12億円)を調達したらしい。

http://m.jp.techcrunch.com/2014/12/18/20141217farmlogs-nabs-10m-series-b-from-sv-angel-sam-altman-and-others/

はてさて、いくら位のシェアをこの調達に割り当てたのかはわからないけれど、10%くらいで調達してるんだろうか?ってことはバリュエーション100Mドル(120億円)ってところなのだろうか?いずれにしても素晴らしいことですね。AGRIBUDDYをやっている僕たちにとっては物凄い追い風のニュースだし、このような農業系のサービスがちゃんと世間からの評価を受けて、資金調達ラウンドの時点でバリュエーションが100億円を超えてくるはずだという僕の考えが、ただの妄想では無かったということがこうやって証明されていることが、なによりも嬉しいです。

彼らはアメリカの農家をターゲットしていて、農業のIT化は遅れているけれど少なくともインターネットやコンピューター、スマホが普通に使われている層へのアプローチを行っている。片や僕たちAGRIBUDDYは、ネット回線は整備されているにも関わらずインターネットに接続していない、もしくはスマホを持っているにも関わらずネットに接続したこと無い、Googleアカウントすら持っていないという層にアプローチしている。

僕たちは日々、農村でAGRIBUDDYのインストールを行って使い方の説明をしたりしているのだけれど、間違いなく自分たちが「世界で始めて彼らをインターネットに接続させた」という実感を持ちながら仕事をしている。自分たちが作ったサービスを、世界の誰もがまだ足を踏み入れていない領域に広めていくというのは、確かに困難で手間が掛かる作業でもあるのだけれど、ここから得られる果実は非常に大きいという僕の考えもまた、今後証明されていくことになるはずだ。

さぁ、頑張ろう!

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遺伝子組み換え作物

遺伝子組み換え作物って、なにかと評判が悪いというか恐ろしいイメージが付きまとっている。僕は科学者ではないので実際のところどれくらいヤバイのかわからないけれど、多分世界中の科学者が遺伝子組み換え作物は全く問題が無いと発表したところで、人々の感情的な負のイメージは消えないだろうから、この先も永遠に消費者に喜んで受け入れられる時も来ないんだろう。

僕も農業に関わる前までは、一体なんのために遺伝子を組み替えるのか全く知らなかった。きっと収穫量が飛躍的にアップするのだろうとは思っていたけれど、それはなにかボディービルダーがステロイドを打つような感覚で、作物が大きく育つとかそういうものだろうと考えていたんだけれど、どうもちょっと違うらしい。

じゃぁなんなんだというと、病害虫に強いということが一点。もう一つは除草剤がかかっても枯れないということが一点。悪名高きモンサントなんていう会社の製品が有名ですね。

で、僕も農業をやってみてわかったことなんだけど、除草作業って本当に大変なんですよ。もうなんか農業って作物を育てているというより、雑草を除去しているという方が正解なんじゃないかというくらい除草作業に手間が掛かる。しかも日本の高付加価値作物、例えばマンゴーとかイチゴとかトマトとかみたいに手間を掛けた分高く買ってくれる作物であれば、人件費を掛けて除草をしっかりやるというのもいいけれど、うちみたいにトンあたりいくらというコモディティー商品を作っていると、兎にも角にもコストを下げたもの勝ちということになるので、この除草作業が簡単に出来るという話はよだれが出るくらいに魅力的だ。

遺伝子組み換え作物とその作物にだけ効かないという除草剤の組合わせは、農家にとっても夢の様なイノベーションであることは動かしがたい事実なのも間違いはないんだよね。時間も人件費も削減できるし、農薬が自分の身体にかかったりするリスクも減らせる。有機栽培がもてはやされていて、それは確かに一つの理想でもあるのもわかるし、僕も直接口に入れるものであれば農薬を使ったりせず人の手で雑草を除去したものを購入したい。でも人手がかかる分それは価格に転嫁されて高価格になるわけで、もし価格に転嫁されず「人手と手間のかかったものをより安く」を世界が求め続けるのであれば、それは「低賃金で過酷な労働をする」現代版奴隷労働を容認するということと同意なんだよね、気がついていない人が多いけれど。

しかも野菜みたいに大量に消費しないものならともかく、世界の途上国が経済的に豊かになって多くの人びとが肉を食べ始めることにより増え続ける家畜を養うための飼料原料とか、様々な原料作物を超大量に作らなければならない分野では、簡単に価格に転嫁させることが出来ない。経済が成長して需要が増えているのに価格が上昇していないってことは、どこかにそのしわ寄せがよっているということでもある。そしてそのしわ寄せは、『将来が甚だ不安な科学的イノベーション』か『現代の奴隷労働』による不健全な低コスト競争につながっている。

もちろん低コスト競争自体は消費者にとってのメリットにつながるから大いにやるべきなので、僕はこの不健全な二択以外の第3の選択肢として、ロボティクスのような人間の作業を機械に置き換えていく流れが農業には最も必要だと感じています。手軽で安全で安価で大規模な除草が確実に出来る方法無いもんかな〜。

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人力による農業の限界についての考察w

今回のハノイ訪問目的の一つであるフランジアは、先日もベトナム法人と日本法人のCEO、COOが揃ってカンボジアの地雷原と農場の視察に来てくれた。やっぱこれからは途上国×農業×ITだよね〜なんていう話で盛り上がりっぱなりの我々ですが、その中でもどの部分にフォーカスすればいいんだろうなんてことで、ベトナム法人CEOのカズちゃんと喧々諤々やってたんだけれど、改めて農作業を数字に落としながら考えてみると「完全に人力では不可能ミッションですな」という結論に落ち着く結果となった。

こちらはカズちゃんのブログ
http://www.offshorelab.com/2014/11/26/global-haihanchiken/

うちの会社(HUGS)では昨季は約1,000ヘクタールという規模のキャッサバ農場を運営していたのはこれまでにも何度か触れてきたけれど、もう少しその規模をわかりやすく説明する方法がわかったので、早速ちょっと紹介してみたいと思う。

通常、キャッサバを植えるには日本の畑にもよくあるような畝を作る。この畝の幅が約1メートル。1ヘクタールっていうのは100メートル四方だから、幅1メートルで長さ100メートルの畝が100本あることになる。100メートル×100本なので畝の総延長は10キロ。

1000ヘクタールとなると、畝の総延長は10キロ×1000なので1万キロということになり、なんと地球4分の1周分、北極から赤道までの距離に及ぶキャッサバの植わっている畝を人力で管理していたことになるw

畑の中なのでもちろん泥濘んでいたり、凸凹だったり、作物や雑草が生えていたりして非常に歩きにくいんだけど、ここを人が荷物を担いで行ったり来たりしながらキャッサバの苗を植えたり、除草作業したり肥料を撒いたりしていたわけですね。作物が茂っている状態の時の畝と畝の間は、僕なんか200メートルを普通に歩くだけでも相当キツいんだから、背中に除草剤の噴霧器とかの荷物を背負って作業しながら歩くとなると、そりゃぁ誰もやりたがらんよな。

ちなみにカンボジアにはキャッサバ畑だけでも約40万ヘクタールあるそうだ。これは全農地面積のたった5%。これを先ほどの計算方法で畝の総延長を算出すると400万キロ。なんと地球と月5往復分だwww で、カンボジアの農業就業人口が約500万人と推定されているので、きっかりその5%がキャッサバ事業に従事していると考えると25万人。各自16キロの畝を管理することになるってわけだけれど、多分っていうか絶対にちゃんと管理しきれるはずがないということは、一度でも超クソ暑いカンボジアの農場に訪れたことが有る人ならばすぐに分かっていただけること請け合いだ。

というわけでこんな単純な計算でも、今も増え続けるキャッサバ畑(もちろん他の作物の畑も増えている)を人力で管理出来るはずがないということがわかるわけで、今のままの安い労働力に頼ったカンボジア農業では、近い将来色々なことに限界が来るのは火を見るよりも明らかだ。ということで、やっぱ機械化効率化の道を模索するのが王道っぽいですね。

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