文明の利器

今日はアンコール・チュムっていうシェムリアップ州の端っこに位置する農村に、農地面積の測量に行ってきた。

以前から何度かこのブログの記事にしているリム・チャ村のプロジェクトが、待てど暮らせど前に進む気配を見せてくれないので、我々で出来る新たなプロジェクトとしてこのアンコール・チュムの未開発地域を、農地として開発する事業を開始することにした。
(参照記事)
・ディズニーリゾート10個分(笑)
http://hugs-int.com/kengo/archives/1237
・危ういところ
http://hugs-int.com/kengo/archives/1264
こういう時こそ大活躍してくれるはずのJEEPさんは、さすがカンボジアクオリティーというべきか、よくわからない故障で入院中(笑)

仕方がないからスタッフのピルン号を借りて行くことにしたんだけれど、僕が一つ完全な勘違いをしていたお陰でえらい目に合った。というのは、てっきりピルンの車は見た目からして4輪駆動だと思ってだんだよね・・・ で、砂地の凸凹道に入っていったらすぐにスタック。よくよく聞いてみると前輪駆動車だった(笑) お陰で現地に着くまで何度も車をみんなで押したり引いたり、到着した頃にはヘトヘトになっていた。

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ようやく到着した現場は見事なまでのジャングルの中。
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ここからおよそ100haの土地の周囲を歩いて回りながらGPSで地点登録をしていくんだけど、僕はここで待機させていただくことにしました。念のため言っておくが、決してサボったわけではなく、万が一ピルンの車に何かあってはいけないのでその見張りをするためです。 誰がなんと言おうとそうなのだ。。。

ってなわけで、ここからはフィフォンくんが頑張ってくれた。こんな風に、まさに道なき道を歩きながら土地の境界にあたる目印を辿って行く。
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年に一度野焼きをするらしく、一歩中に入っていくとこんな感じの焼け野原が広がっていた(フィフォン談)
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これって多分100年前も、いや、もっとその前も変わらない風景なんじゃないだろうか。
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こんな場所が本当に農地になるのかとお疑いのみなさま、次の写真を御覧ください。
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こちらは今回のプロジェクトの真横に小じんまりと造られた畑ですが、綺麗に開拓すると全部こんな感じに仕上がります。

そして、土の状態を調べるフィフォンさん。かなり有機物が混じっていて良さそうだとおっしゃっていました。

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途中の小屋で休憩。 そこらにある木の実をもぎ取っておやつにしてしまうのは、カンボジア人にとっては日常の風景。僕にはどれが食えてどれが美味しいのかさっぱりわからないけれど、彼らは本当によく知っている。女の子も平気で高い木によじ登って木の実をもぎ取ってくるんだから、やっぱり彼らは自然と共生して生きているんだなと実感する。
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本当は今日、合計で400ha分の土地を計測する予定だったんだけれど、想像していたよりも遥かに大変な作業だということが判ったとともに、1日では到底終わらないということも理解できた。なので今日はこの一区画の計測のみで一旦シェムリアップに戻り、後日フィフォンとダラに泊りがけで来てもらうことにした。

ちなみにGPSで地点登録をしていった後は、機械をPCに接続すると自動的に区画の全景が表示されます。いやはや文明の時代だね~。全てのポイントを結んでいくと自動的に面積を測定してくれるし、周囲の距離ももちろん測定してくれる。

本日フィフォンが”道無き道”を歩いた距離、4.9キロ。 お疲れさまでした♪

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ランドラッシュ

今日のニューズウィーク日本版のコラムに池田信夫氏が『日本国債の格付けはなぜ引き下げられるのか』ってなテーマで寄稿していた。
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2011/02/post-286.php

簡単に言うと、今の日本国債はヨーロッパの破綻懸念国家と変わらないレベルの格付けだと見られてる。何故かっていうと、このまま時間が経てばいずれ日本国債を国内の銀行だけで買い支える訳にはいかなくなって、海外からの資金を頼りにする必要に迫られる。そうなると金利が上昇、すなわち日本の銀行が保有している国債の価値が下がって、日本の銀行なんか簡単に吹っ飛んでしまうような損失が出る。それを防ごうと日銀が国債を引き受けることになったが最後、日本円が市場に余り出してインフレが進んで、日本円の価値なんかどんどんと無くなっちゃうよっていうことだ。

ちなみに今の日本国債を買い支えている日本の銀行の資金の出元は、もちろん日本国民が汗水たらして働いて、贅沢をせずにいつか何かの時の為に後生大事に貯金しているお金です。

働いて稼いだお金から税金払って、年金や保険を払って、とまぁ、これはわかりやすく行政に使われているお金になっているわけだけれど、そこからさらに貯金しているお金も銀行を経由して国債を買うという形で政府に貸し出され、同じように行政に自由に使われている。

日頃散々政府のことをバカだのクズだのと言いまくって批判している人が多い割には、日本人は驚くほどの貯蓄率の高さを誇っている。これってなんだかんだ言ってみても日本国民が政府を100%信用しているっていうことになるんだけれど、みんなの言ってることとやってることが矛盾しすぎてるような気がするのは僕だけなんだろうか?

例えばこのコラムにもあるように今後数年間で2倍のインフレになったとしよう。ということは単純に考えて、みんなが今まで必死の思いで貯めてきたお金は、あっという間に2分の1の価値になってしまうってことだよね?そうなる可能性とならない可能性ならば、明らかになる可能性の方が高いと言わざるを得ないだろう。仮にそうなっても日本円が他国の通貨に対して今のレートのままならば、みんな大金持ちになれるけれど、残念ながらそう都合良くはいかないだろうなぁ(笑)

さて、ちょっと話は変わるけれど、今日のツイッターに下記のような投稿がありました。

21世紀の『ランドラッシュ (Land Rush)』とは、2007年以降の世界食料価格高騰が発端となり、欧州諸国、中国、韓国、インドなどが国を上げて、アフリカ、南米、旧ソ連圏、東欧、南アジアなどの耕作可能な土地を大掛かりに買収している現象。途上国などを舞台にした農地争奪戦が勃発中

ランドラッシュ(各国政府や穀物メジャーによる途上国の農地争奪戦)が起きる理由は、1)国連によれば2060年に人口は百億。食糧需要は増し生産量を2倍にする必要。2007年以降、米・小麦・大豆の価格は2倍以上に高騰しドル箱。2)石油なき後、バイオ燃料、バイオプラスチック時代になるかも


実際問題として食料の高騰は目に見えて分かる状況になっていて、僕達が扱っている豚肉もたったこの1年でキロ当たり6000リエル(1.5ドル)だったものが、8000リエル(2ドル)に値上がりしている。 もちろんその背景には飼料になる穀物の価格や燃料代が高騰しているという事実があるわけだけれど。

これに付随して、日本でも食料自給率なんてことが急に問題視されたりしていたけれど、そもそも食料を生産するための機械を動かしたりする燃料のほとんどすべてを輸入に頼っている日本が、国家安全保障のために自国で食料を生産しなければ、万一の場合危険だと言っている意味が全く理解出来ない。今の日本の地価や人件費から考えてみても、日本で生産する農作物が世界レベルでの競争力を発揮できるとはとても思えない。

さらには日本に住んでいるからと言って、世界で流通しているのとは全く別次元の価格が付いた農産物を買わなければいけない理由も無いだろう。時代はいつも安価で高品質の商品を求めている。日本製だから高くて当たり前、高品質だから高くて当然というのは、日本人のみが持っている幻想に過ぎない。

で、今日は何が言いたいかっていうと、今後インフレが進む可能性が高くて、もしかしたら持っているだけで価値がどんどん目減りしていくような日本円を、ずっと銀行に眠らせておくのではなくて、海外の農地や食物生産に投資することを考えたほうが、遥かに建設的なんじゃないかということです。

インフレが進めば必ず食物は同じように価格が上昇していく。インフレが進めば進むほど損する現金から、インフレが進めば進むほど儲かる食物分野へ資産を振り分けておくには、もう決して早過ぎる段階ではないだろう。

今、僕がその回答の一つとして手がけているのが養豚や魚の養殖。特に豚に関してはカンボジアはまだまだ国内消費を輸入に頼っているのが現状です。一説によれば国内消費を全て賄おうとすれば、今の倍の生産能力が必要だそうだ。ということは、この分野だけでもまだまだ参入余地がタップリと残されているってことです。

ってなわけで、興味あるな~って人はいつでもお気軽にご連絡くださいな☆

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ちょっとブツクサ言ってみる

去年の夏ころに日本のNGO団体の人から『シエムリアプに旅行する人に文房具を持たせて孤児院に寄付したいので、場所などを教えて欲しい』という要請があった。このNGO団体は旅行者に文房具を託すことによって、送料を掛けずに現地まで届けるということを狙いに活動しているそうだ。

ただうちの孤児院の場合、おかげさまで文房具や洋服といったようなモノはあちこちから寄付を貰っていて、正直に言って余り気味なので他の孤児院かフリスクールを紹介しますと伝えさせてもらっていた。結局その時はどうやらスケジュールが合わなかったようで、また次の機会にってなことになっていたんだけれど、この度またこちらに旅行者の方が来るということで連絡をもらった。

今回は国際協力学生団体がこちらに来るので、ぜひとも文房具を届けさせて欲しいということだ。

早速フィフォンやピルンを始めとした何人かのフリースクールを運営している連中に聞いてみたんだけれど、みんな文房具は充分に間に合っているってことだった。どちらかというと過剰に支給されることがあって子供達が大切に使わないこともあるから、本当は自分たちで購入させたほうがいいってな意見もあった。

で、こんなやりとりをしていると、ここでふとした疑問が湧いてきた。どうして文房具限定なんだろう?

例えば鉛筆を貰っても、腹が減っても食えないし、寒さを凌ぐことも出来ない。 さらには風邪をひいたって薬の代わりにもなりやしない。 鉛筆は鉛筆以上の働きをしてくれない。 ところがもし、この文房具を購入するのと同じだけの現金を渡されたとすれば、その時一番必要とされるもの(それは鉛筆かも知れないし、薬かも知れないし、米かも知れない)に自分たちの裁量で交換することができる。

この自分たちの裁量で最適なモノを購入するという選択権を、彼らに渡してやることは何か問題があるのだろうか?

それにこの文房具にしたって、日本で購入して旅行者が持ってくるのは確かに送料が掛からないという利点はあるけれど、それならいっそ現地で購入したほうが遥かに価格が安いからたくさんの量を買い揃えることも出来るし、現地で商売している人の懐も潤うことになる。 世界中どこの貧困国だって一番効果を発揮するのは『外貨を稼ぐこと』なんだから。

どうして日本で購入して現地に持ち込まなければならないのだろう?

せっかくの機会なのでこのNGO団体の担当の人にも率直な僕の疑問や意見として、上に書いたような内容を伝えさせてもらうと共に、今回の文房具の寄付の申し出は辞退させてもらうことにした。 少なくともうちよりも、もっと文房具を必要としているところに届けて欲しいと思うから。

さらに、このNGO団体とは関係ないことなんだけれど、最近旅行者などがちょっとした支援物資(お菓子とか服とか文房具とか)を孤児院などに持参して、それを手渡しているところを記念撮影。 更には子供達全員を集めて記念撮影を行い、その後Facebookや自分たちのウェブサイトに写真を貼り付けるという行為に対して、子供達のプライバシーや肖像権を完全に無視した行為をやめさせるべきだとの意見も言われ始めている。

まぁ僕は別に写真を撮るなとは思わないけれど、100ドル程度の何かを購入して持ってきて、それを手渡しているところとかをバチバチと写真に撮るという行為と、動物園で餌を購入して餌付けしているところをバチバチと写真を撮る行為との境目がよくわからない。 どっちも根本的には同じだよね?(笑)

ってな訳で、子供達と一緒に写真を撮ろうって人(特に集合写真を撮りたいなんて人ね)は、『彼らがどんなに貧しい子供達であって、あなたがどんなに素晴らしい支援者であったとしても、彼らには日本やアメリカの子供達と同じように肖像権やプライバシーは存在する』って事だけは、ちょっと頭の片隅においておいてほしいなと思います。

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