資本主義的公共サービス

いつものことながらカンボジアで行政が関係する物事を進めようとすると大変だ。最もこれはカンボジアに限ったことではなく、アジア全土に共通する事項かも知れないけれど・・・(笑)

今、僕達が進めようとしているプロジェクトの一つ、リム・チャ村の農業開発事業もご多分に漏れずその罠にどっぷりとハマっています。

一つめの原因は僕自身がクメール語を全く読めないこと。英語ならよほど難解なことが書いてない限り、大切な部分はしっかりと理解できる。ところがクメール語の文章になると、相手の言い分を丸呑みするしか方法が無い。

こんな時いつも頼りにしているのがフィフォンとダラなわけだけど、彼らは逆に政府からの文章等をあまり読み慣れていないので、これまた相手の説明が正しいのだという思い込みの下、文章を読み込んでしまう・・・

今回のプロジェクトに関してもこれが最終的な政府からの回答文章だという書類の山を見せられて、その結果に基づき色々な準備や交渉を始めると共に、現地の弁護士に書類の再チェックをお願いしていたところ『これではまだ事業がスタートできない』という結論になってしまった。

どうやらシェムリアップ州の許可は問題なく完了しているが、カンボジア政府の許可を別途得る必要がある、というか、政府から州に権利を移譲してもらわなくては始まらないという、日本ではアリエナイような話になっている(笑)そもそも以前、孤児院のパスポートを取得する際も四苦八苦したのが、このカンボジアの政府関係者にばらまかれた様々な利権構造だった。

想像するに、4派が入り乱れて戦争をしていたカンボジアを平和裏にまとめていくために、色々な派閥にそれぞれ利権を配ったのが事の始まりだろう。

ある意味ここから容易に想像出来るのが、幕末から明治維新にかけての日本の利権の行方だよね。薩摩と長州という2派閥及び、江戸城無血開城をした幕府側の人々、その功労者や実力者に広く利権を行き渡らせる必要があっただろうことは想像に難くない。僕たち日本人は、政府や行政が清廉潔白でガラス張り、間違っても他のアジア諸国のような汚職は無いと思っている。そして利権がどこかに集中しているなんてこともなく、国民は平たく平等だとすら思っている。その上で貧困問題の議論をしたり、中国や韓国、ロシアに対して怒りの炎を燃やしたりしている。

その反面、何故幕末に三菱が皇居の前の一等地にあれだけ土地を所有することができたのか、とか、ホリエモンは誰にケンカを売って大変な目に合わされたのかとかを考えようとしない・・・

他の国には政府の汚職は有って当たり前で、とんでもなく意地汚い連中が国を牛耳って国民から搾取しているが、日本だけはそうではないと信じている。信じているけれど、年金はどこかに消え、国の借金は毎年膨大に増え続け、天下りの問題はいつまでも無くならず、国民が贅沢は敵だと思いながら貯めてきたお金は全て国債の担保になってしまっている。

みんなもうそろそろ気がつくべきなんじゃないのかな。。。。

はっきり言ってしまえば、カンボジアやその他のアジア諸国は西洋型先進諸国化が始まって日が浅いから、利権構造が丸見えなだけなんだよね。

日本にそのような利権構造が無いわけではなく、見えにくくなってしまっていることと、みんなが敢えて見ないようにしてしまっているだけだ。

例えばこの国では何かの許可を得ようとすると色んな役人のサインが必要になる。 そしてそのサインの数だけ金が必要になったりする。で、これまた「なんでそんなに人数が必要やねん」とツッコミを入れたくなるくらい数が多かったりもする(笑) 日本の場合はどうだろう? 確かにサイン(ハンコ)をもらうたびに金が必要になることは無いが「そんなに人数が必要なのか?」と聞きたくなるくらい、たくさんの部署を書類が駆け巡る。その書類に一々ハンコをついてくれる人たちは、みんなの税金から給料をもらって生活をしている。

税金っていうのは強制的に徴収されるお金であって、そのサービスを望んでいるかどうかは全く関係がない。仕事をしてようが、本人の主張はどうあれ我々一般大衆からすると仕事をしていないように見えようが、そんなことはお構いなしに一律強制的に徴収されたお金、若しくは国民の貯金を担保に取った借金(国債)から給料が『もれなく』支払われる。

なんだかこっちの方がよっぽど搾取なんじゃ無いかと思ったりもする(笑) もしかしたらカンボジアのように、必要な時に必要な人に賄賂を支払って、そのかわりその分しっかりと働いてもらうという、資本主義の原則に従った公共サービスの方がよっぽど健全ではないんだろうかという気がしてしまう今日この頃です・・・

あぁ、でももう少し僕たちにでも分かりやすいようにカンボジアの利権構造組織図を作ってくれないかなぁ

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『知る』と『やる』とは大違い

先日ブログに登場してもらったケンとは別に、もう一人チカって子がカンボジアに訪ねてきてくれていた。今までにフィリピンやミャンマー、更にはえーっとどこだったけ、旧バルト三国の一つの何とかって国でもボランティアをしてきた経験があるって言うことだった。

で、今回はちょうど孤児院の飲料水についての課題を抱えていたので、来る前にちょっと簡易ろ過フィルターの作り方なんかを調べてもらって、ついでに日本製のサラシを購入してもらってきた。 ほんでもってせっかく調べてきてもらったんだから、ろ過フィルター制作に必要なものを現地で買いに行って、こっちのやつらと一緒に作って帰ってもらえばいい経験にもなるだろうし、なにより僕が楽できるからお願いすることにした。まぁでも、結果から言うとあんまり思っていたようなモノができなかったんだと思うんだよね。

何度か作り直しをすることになって本人も幾分焦っている様子が手に取るようにわかったけれど、もう少し時間に余裕があったのなら本当は最後まで口も手も出さないでおきたかった。いや、別にろ過フィルターに関してだけではなくて、通常どんなことだって調べて『知った』知識と、実際にやってみるのとでは全く違って当然だし、やってみて違う部分をどうやってアジャストしていくかというところが本来一番重要な部分だから、そこをじっくりと学んで欲しかった。

それと貪欲さ・・・
基本的にボランティアとかをする気持ちの優しい人に共通しているのは、貪欲さが足りないということだと思う。

何がなんでも自分が思う方向性や形にしてやろうっていう、早い話、ちょー自己中な考え方だ。これって決して悪い面ばかりではなくて、例えば今回のろ過フィルターに関してなら、現地の連中は作り方も知らないわけだから、チカがみんなのリーダーにならなければいけない。上手くいって当たり前、失敗すればカッコ悪い。

だから絶対にいいものを作るために妥協しない、上手くいくまで考え続ける、相手の意見なんか聞かないってくらいに徹底してもいいのになと思った。

この強力なリーダーシップが、今の日本人に一番欠けていることころなのかも知れないよね。優しさが常に善とは限らないっていうか。さて今回彼女がどんなことを感じ、これからそれをどんなふうに活かしていくのかが楽しみです。

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CNN『世界のヒーロトップ10』

以前このブログでDUFFというフリーマガジンを紹介したことがある。

僕がカンボジアでやっている試みを面白おかしく紹介してもらったりしたこともあって、そこのメンバーの一人でありデザイナーのケンが今回カンボジアに来るのを楽しみに待っていた。


(参照)
フリーマガジン
http://hugs-int.com/kengo/archives/1198
終戦記念日と地雷
http://hugs-int.com/kengo/archives/1216

カンボジア訪問もすでに5回目くらいになるという彼は、僕と同じくエベレストのベースキャンプまで行ったこともあるという、なかなかのツワモノ旅行者でもある。

ちなみに僕が行ったのはチベット側のベースキャンプ(だから正確にはチョモランマのベースキャンプ)、彼が行ったのはネパール側のベースキャンプ。 実は同じベースキャンプでも(双方高度5000mオーバー)そこに辿りつくまでに越えなければ行けない行程に決定的な差がある。

片方はとんでもなく大変でもう一方は、まぁ車で行けちゃったりする(それでも高山病にやられて大変ではあるけれど・・・) あえてこのエントリーではどちらが大変なのかは触れないことにしよう(笑)

(参照)
誤算
http://hugs-int.com/kengo/archives/1020

そんな彼の今回の訪問の目的の一つがアキ・ラー率いる地雷撤去チームにカメラを渡して、日々の様子をスタッフ目線で撮影してもらうという事だった。

彼らの真剣な作業の様子などの写真は今までにあらゆる人々が撮りためてきているので、今更特?貴重な写真ってわけでもない。

それよりも、以前にもこのブログでも書いたことがあるけれど、彼らの日常、いわゆる地雷撤去作業以外の時間のみんなの素顔が本当に素敵で、しかも世間に出まわっていない貴重なシーンでもある。 そういった写真をたくさん撮影してもらって自分の雑誌で紹介したいというのが、彼の望むところだということだった。

そのため今回アキ・ラーのチームと地雷原に同行してジャングルに1泊する予定だったのだが、地雷原に入るのが明日からなのに、ケンのカンボジア出発が明後日の朝だということで次回のお楽しみということになった。
で、今日はちょうどアキ・ラーの身内の100日法要ということだったので、カメラをチームのみんなに託すことも兼ねて一緒にお寺に同行することにした。

まずはお墓参り・・・

線香を焚いて仏前に現況を報告したりするってのは、ほぼ我々仏教徒の日本人が日頃やっていることと変りは無い。その後はお寺に行って法要の準備を親族一同総出で行ない、そこに近所の人がひっきりなしに訪ねてくる。

あぁ多分、古き良き日本はこんな感じだったんだろうなぁ、と思わせる光景だった。 残念ながら典型的な核家族で育った僕には、こういう暮らしを続けるのは苦痛な作業になりそうでもあるのだけれど・・・しかしやはりデザイナーってのは写真を取るのも上手いよね。 同じモノを撮っても構図が違うと、こうもいい雰囲気の写真になるんだな、と改めて感じさせられる1枚がこれ。

ただアキ・ラーが子供たちの世話をしているだけの写真なんだけれど、何故か彼の優しさがにじみ出てくる。なんて言うか、まさに古き昭和の香りただよう一枚って感じだ。
kentakamatsu1105 108
ちなみにアメリカのCNNテレビが選ぶ『2010年世界のヒーロトップ10』の一人として、アキ・ラーが選ばれている。

現在CNNのサイトで投票が行われていて、今年のヒーローナンバー1の発表に合わせてアキ・ラーも今月20日からアメリカに行くそうだ。 下にCNNの投票用のURLを貼りつけておくので、ぜひみんなの力でアキ・ラーを世界一のヒーローにしようじゃないか!
CNNヒーロー投票用のURL
http://heroes.cnn.com/vote.aspx
CNNによるアキ・ラー紹介ページ
http://www.cnn.com/SPECIALS/cnn.heroes/archive10/aki.ra.html

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