夕方の飛行機にてバガンからヤンゴンへと再び戻ることになった。
たぶん以前はマンダレイからも国際線が飛んでいたんだろうけど、今はヤンゴンからしか飛んでいないため、どうしても戻らないといけないので効率が悪い・・・
しかし今、バガンを離れて改めて思い返してみると、あまりにも現実ばなれした光景が広がっていたため、今一リアリティを感じることができていなかったように思う。
目の前にあるリアルな現実にも、リアリティを感じることが出来ないときがある
ということを知ることが出来たのは今回の旅の大きな収穫の一つかもしれない。
これはチベットで過ごした数日間に対しても同じことが言える。
人は自分の暮らしやすいレベルをよくも悪くも維持しようとする機能があるそうだ。
だから突然宝くじが当たって大金持ちになっても、気がつけば元の生活に戻ってしまっている、なんていうようなことが起こるらしい。
その暮らしやすさとかを比較できる限界を超えてしまうと、急に全てが現実的に捉えられなくなるんじゃないのかというのが僕の出した結論だ。
だから宝くじで大金を当てて『夢のような生活』を送っても、その生活が自分で夢のようだと思っている時点で、もうリアリティを感じることの限界を超えてしまっているということになる・・・
そしてリアリティを感じることの出来ない世界からは、知らず知らずのうちに体や心が拒否反応を起こし、元通りの安心して現実を感じることが出来る世界に引き戻されてしまう。
よく夢を実現する方法とか、引き寄せの法則なんていうよなものが巷にあふれているけれど、それは実現したい夢が全てこのリアリティを感じることの出来る夢かどうかにかかっていると言えるだろう。
ようやくとても素晴らしいけれど僕にはリアリティを感じることが出来なかった世界から、ヤンゴンに戻ってきた。
といったところでヤンゴンですらまだ浮世離れしている世界であることは確かだけれど・・・(笑)
ただヤンゴンは僕が行く前に想像していたような秘境ではなかった。
思いのほかビルや建物がたくさんあって、人通りも多いしディスコなどもたくさんある。
ちなみにミャンマーのお金は全てお札で1ドル1000キャッツ位なので
100ドルを両替するとこんなことになる。
ポケットに突っ込んだときにはつかの間の金持ち気分を味わった(笑)
明日はやっと文明のある都会、自由に情報がやり取りできる世界に戻ることが出来る♪
やっぱり僕には美しすぎる秘境より、泥臭い世界がまだまだお似合いのようだ・・・(笑)
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宝くじ
バガンがどれくらい原始的な街かというと、たとえばホテルの前に待機している乗り物は馬車のみである、とか、土産物屋で物々交換ができてしまうなど、日本に住んでいるとちょっと考えられないような生活をしている場所だ。
その割には今回宿泊しているオールドバガンにあるホテルは、明らかに外資系が建てたんだろうと思うくらい豪華で気の利いた造りになっている。
ホテルの敷地内にも遺跡があって、その横の河が見える場所がレストランになっていたりして、建物も施設もすべて雰囲気満点だ♪
敷地から出ればおよそ歩いていける範囲内はすべて遺跡が散らばっているから、わざわざどこかに観光に行くという必要すらない・・・
ただそれでは面白くないので、近所の人々の生活などを見ようと半日車をチャーターして出かけてみた。
これは牛を使ってピーナッツから油をしぼりとっているところ。
時間効率なんていう概念はここには存在しない(笑)
ここはほかにも椰子に木エキスから酒や砂糖を作って販売しているんだけど、適当に座ってお茶を飲んで豆などをあてに食べて(無料で・・・)帰ってもいいそうだ。
酒の蒸留だってこんな風に薪で炊いてやっている・・・
そんなとき宝くじ売りがやってきた。
聞いてみると一等賞は10万ドル(1千万円くらい)があたるらしい♪
せっかくなので試しに購入してみたら、僕が買ったくじの番号を一つ一つ手書きでノートに書き留めて、後で当たった時に照合できるようにしている。
1口10枚セットになっていたので、全部この店の人たちに1枚づつプレゼントしてあげた。
これで誰かが当たっていたら僕もちょっとした伝説になれるんだけどなぁ(笑)
市場に向かってみると藁ぶき屋根の下や露店でものを売っていて、こちらもいい感じに時代を感じさせてくれる。
基本的にビルマ人はみんなロジっていう巻きスカートのような民族衣装を男女とも身につけているから、こういう場所にたくさんの人が集まっていると本当に異国情緒を感じることができる。
カンボジアに来ていた外人が口をそろえて、ミャンマーがアジア最後の秘境だって言っていた意味がバガンに来てみてようやくわかった。
次はバガンの名所でもあるポタ山・・・こんなとんでもない崖の上に寺院がある・・・
有名どころで言うと元サッカー選手の中田英寿も2年前に来たんだよって教えられた♪
この国でもサッカーは人気スポーツのようで、原チャリのシートもなぜかサッカーチームになっていたりする(笑)
っていうかテレビあるんだろうか?家の中に・・・
古都バガン
日本は昔、黄金の国ジパングなんて呼ばれていたらしく豊富に金が採れていたようだ。
その証拠に江戸時代などは大判小判といった金貨が流通していたわけだし、明治維新後もあちこちに金山が存在していた。
いったいそれだけたくさんあった金はどこに消えてしまったんだろう・・・?
それはさておき、どうやらここミャンマーも黄金の国であることは間違いないようだ。
国内にあるいくつかのパゴダは金ぴかに光り輝いていたりするんだけれど、それらはすべて本物の金箔を貼り付けてある。
日本の金閣寺も確か金箔をはり巡らせてあったはずだろうと思うんだけれど、ミャンマーのパゴダに貼ってある金箔を作っているのはマンダレイだけだそうだ。
その金箔を作っている工場に見学に行ってみると、今なお完全にハンドメイドで作業を行っていた・・・
使用している金はすべて国内の金山で採れたもので、その金の小さな塊をリボン状にローラーを使って伸ばしていく。
ある程度の薄さになったら2センチ四方にカットして竹で作った紙の間に挟みこみ、それらを100枚重ねて鹿革でしっかりと固定する。
それをこのように重さ3キロのハンマーで叩いて伸ばす作業を1工程30分という単位で繰り返す。
最終の工程で5時間叩き続けることによって極限まで薄く引き延ばした金箔が完成するそうだ。
ちなみに金箔を挟み込む竹紙もハンドメイドで、竹を繊維だけにするために水とライムの入った瓶に3年間漬け込むらしい・・・
なんとも気の長い手の込んだ作業と伝統を、今も守り続けている工場が全部で70か所ある。
でもこんなに金箔を作ってもいったい何に使うんだろうというのが疑問だった。
次に向かったのがマンダレイの金箔を実際に使用しているパゴダ。
さっき製造過程を見てきたばかりなので、心なしか本当に光り輝いて見える(笑)
中に入ってみてようやく金箔が今も何に使用され続けているのかが判明した。
仏像にみんながお布施代りに貼り付けていっている。
人々の力によって仏像が永遠に光り輝き続けるっていうのは、なんだかとっても歴史の重みのある話でかっこいい♪
そういえば少し話がそれるけど、どういうわけかビルマ人はみんな葉巻を吸っている。
細い葉巻から太い葉巻までさまざまな種類があるけれど、こんな風に年配のおばちゃんがブットイ葉巻をふかしているのも中々に味があるってもんだ。
葉巻好きの僕としてはちょっとうれしい光景だったので、思わず写真に撮ってしまった(笑)
さらにそこから少し離れた場所には、マーブルストーンと呼ばれる大理石を加工する工場が密集しているところがある。
これまた職人が寄ってたかって削りだしたものを、女の人や子供たちが磨き上げている。
出来上がったものをあちこちで見ても別に何とも思わなかったけれど、こうして実際の作業工程を見せられると、あまりの手のかかりっぷりにびっくりさせられてしまう。
ミャンマーに今も残る伝統を見た後に空港に向かい、次の場所バガンという古都に向かった。
それにしてもマンダレイ空港のもったいなさは相変わらずだ・・・(笑)
ホテルにしてみたってそうだけれど、すごくいい建物なのに人がいなくてガラガラだ。
歴史と伝統が今もしっかりと残っていて、ホテルや空港の建物もいいものがたくさん建っている。人は優しく親切で治安は良くて海も山もあるのに、どうして観光客が少ないのか考える間もなくわかりそうなものなのに・・・
そしてバガンに到着してみて僕ははっきり言ってかなり驚いた。
11世紀から13世紀にかけて建てられたパゴダと僧院が見渡す限り、まさに当時の景色のままで地平線の彼方まで4000以上散らばっている。
時代的にアンコールワットと変わらない頃の建造物だけれど、正直に言ってアンコールワットでは足元にも及ばない強烈な景色だ・・・
ただしその分すべてが原始的な生活なので、ちょっと参ってしまったこともたくさんあるんだけれど・・・(笑)