残念な話

朝起きてホームステイの村に向かうために待ち合わせ場所のロビーに降りていくと、ホテルの入り口にはすでに民族衣装を着た女の人たちが群がっていた。



このあたりの人たちはツーリストを目当てに物売りをしているんだけど、物売り自体はまぁ東南アジアでは別に珍しいことではない。




ここの物売りのちょっと問題なのは僕たちが歩いている最中どこまでも付いて来るってことだ・・・

出発に当たって大きな荷物はホテルで預かってくれるってことなので、最低限必要そうな荷物と寒くても大丈夫なようにダウンジャケットを持って行くことにした。


てっきりホームステイ先まで車で行くものとばかり思っていたけれど、リュックを背負ってトレッキングしながら行くことになっていた・・・

先にそう言ってくれていればパソコンなんか持って来なかったのにそんなこと今初めて聞いたし、そもそもその村までホテルからどれくらい離れているのかも全然わからなかったけど、まぁそういうのはいつもの事かも知れない(笑)

ホテルから出て歩き出した瞬間に例のごとく僕の周りに何人かがまつわり付いてきて、口々にどこから来たのかとか名前はとか聞いてくる。



面倒くさいので完全に話せないふりをして無視していたところ、そこら辺に生えていた草木で馬を作ってくれて渡してきたりしながらどこまでも付いてくる・・・



総勢8人でのトレッキングだったんだけれど、他の人にもずっと付いていっているからちょっと様子が違うなと思って訪ねてみたところ、どうやら僕たちは今からその人たちの村に行くことになっているらしい・・・

これは悪いことをしたなと思ってそこからはフレンドリーに話しながら歩くことにした♪



ちゃんと言ってくれないから他の物売りの人たちと一緒にしてしまってごめんなんて気持ちになりながら、どんどんと良くなっていく景色に気分も上々だった、途中までは・・・

ところが途中から昼食をとる場所に近づくと突然みんなが物売りに変身し始めた(笑)

歩いていようが写真を撮っていようがお構い無しに周りから口々に「これ買って」と言ってくる・・・

こういうときに誰かひとりから買うとかえって面倒なことになるのを知っている僕は、「お金をホテルにおいてきているから今は買えない。ごめんね」と言って断った。

しかし何回言っても引き下がらないどころか「お金を持っていないはずが無い」とか「後で買ってくれ」とか「明日ホテルに帰ってから払ってくれ」とか無茶苦茶にシツコイ。

何とか食堂に逃げ込んでもずっと表で待っていたり、隙をみて中に入ってきたりしては何とか買わせようとする・・・

もちろんみんなそれが生きる道なんだからわからない訳じゃないけれど、ほとんどのツーリストはみんな嫌な顔をしているのにそれでも食い下がる。

食事が終わって外に出てもずっとその調子でまとわり付いてきて、いい加減僕もウンザリしてきた。

いったん彼女たちも火がついたら納まらないのか、さっきまでのフレンドリーさは完全に消えてしまい、もはや何かを買わせようとするトークしかしない。

こんな調子じゃせっかくのネイチャーツアーも良い景色も全て台無しになってしまう・・・



「もういいからいい加減にやめろ!僕は買い物に来た訳じゃないしお金も持ってないって言っただろ!」とまで言っても一向にやめない。

もともとこのあたりはのどかな農村だったはずなのに、一体どうしてこんな悲しいことになってしまっているんだろう?



さっきまでの景色は完全に色あせ民族衣装でさえもコスプレにしか見えなくなってきていたとき、ガイドのやつがいい加減にもうやめるよう言ってくれた。

もうちょっと早く言ってくれよ・・・って心底思ったけれど、ガイドたちもここで生きていっている以上むげには出来ないという事情があるようだ。

周りの雑音が無くなってようやく気を取り直して風景を楽しみながら歩き始めた。


近所の子供たちが駒をまわして遊んでいたので、なんだかのどかで良い風景だなぁと思って写真を撮った♪

僕の方を見ながら一言・・・「マネー!!」

なんじゃそりゃ?? お前らはアホかと・・・(笑)

ベトナムは北部に行くほど人の感じが悪いって聞いたことがあったけど、結構間違っていないと思う、マジで・・・少なくとも来た人を嫌な気分にしてどうすんねん。

そういえば藍さんにベトナムに行くって言ったら「心を病まないで帰ってきてね♪」って言われたっけ(笑)

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やっぱり結構寒い・・・

昼間このあたりをトレッキングしたときは暑くてTシャツになっていたけど、夜はかなり冷え込んで寒い・・・

やっぱり山の中って感じの冷え方をするから、寒いのが苦手な僕は外に出るのも嫌だ(笑)

でもところどころ暖炉の火が灯って暖かそうなバーがあるから、今から軽く一杯飲みに行ってくる。

もちろん葉巻も忘れずに・・・♪

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以前見た夢

残念ながら列車のベッドはマットレスがとても硬くて、尾てい骨がいつも痛い僕にとって仰向けで寝ることが出来ないという辛い事実が待っていた・・・

でもそれを除けば快適で、以前日本で乗ったブルートレインよりよっぽど乗り心地が良かった。

まぁ今はその寝台特急銀河も廃止されてしまって、もう乗れないらしいけれど・・・

目的地の駅に着いたときは(いつもの調子の僕は目的地の駅名を未だに知らない)まだ外は暗くて、これまたかっこいい雰囲気だった♪



ハロン湾で一緒になったドイツ人がこのサパに先に行ってきたらしく、むちゃくちゃ寒くて雪まで降ってたよなんていう情報をくれたものだから、気合を入れてダウンジャケットまで引っ張り出していたけれど、全然寒くなかった(笑)

駅からサパまでは車で1時間くらいずっと山を登っていく。

かなり開けた感じの観光地になってしまっているサパは、少数民族の人たちがそれぞれの民族衣装を着てウロウロしている。



聞くところに寄れば4つの民族の人々が共存しながら暮らしているそうだ。

そのときに僕はふと昔何かの本で見た景色と説明文を思い出した。

確か中国の奥地かどこかの場所で山全体が棚田になっている場所に、いくつかの民族が共存しているというのを紹介していた文章だったんだけど、その写真を見ていつか行ってみたいなぁと思っていたんだったんだけど、きっとあれはサパのことだったんだと思う。

まさかこんなたまたまのきっかけで、あの時目に留まって心に焼き付いていた場所に来ることになるとはそれこそ夢にも思っていなかった(笑)

昨日の列車での旅もこのサパも、もっと言えばエベレストや地雷原、社会貢献活動や英語を使った仕事など、数えだしたらきりが無いほど自分が以前思い描いていたことが形になっている。

なんだか知らないけれど本当に良い感じだ♪

明日はこの更に奥地にある民族の村にホームステイにいく予定になっているんだけど、英語もほとんど通じないらしいし、景色はまさに僕のイメージいているようなものらしい・・・

あの時写真でみたような風景が見れるといいな。

ちなみにこのおばちゃん、良い感じの写真でしょ?

実は「写真撮るなら金よこせ」って言われてるところ(笑)

あぁ、やっぱりあなたもしっかりとベトナム人・・・

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