日曜日にプノンペンに向かい月曜日の朝からパスポートの申請作業をして、昼にはプノンペンを出発して夜にはシェムリアップに帰っている予定だったはずが、もう既に金曜日になってしまっていた・・・引率のクレアも含めて、殆んどみんな余分な服を持って行ってなかったから同じ服を着続けている。
僕は一度用事があったのと、WORLD GATEさんがカンボジアに到着する日だったので一度シェムリアップに戻り、到着してすぐの彼女を連れて再度プノンペンに向かった。
ようやくパスポートの申請手続きに入ることが出来たのが木曜日の午後から。一人づつ名前を呼ばれて整理券をもらい、その番号が電光掲示板に表示されると部屋の中に入って、写真を撮ったり身長を測ったりしながらこれまでに作成した書類を提出して完了する。ちょっとこの瞬間は感慨深いものがあったので、写真を撮りまくっていたらどうやら撮影禁止だったようで、係官がすっ飛んできてカメラを取り上げられた( ̄Д ̄;;
しかし相変わらず非常に効率が悪いというか、いちいち担当の係官が出てきて申請者と何やら打ち合わせをしたり、建物の中がはっきり言ってカオス状態だ(笑) こういう作業は、もっと流れ作業的に進んで然りのはずなのに、一体どうしてこんなに手間暇かけた作業になるんだろう?と思っていたら謎が解けた。それはパスポートの発行手数料として本来政府に払わなければならない金額は120ドルなんだけれど、パスポートセンターが独自にその価格に上乗せした金額で申請者にパスポートを販売している・・・担当の係官は全て歩合給(?)のようなものなので、申請者を見つけると担当者が一々チェックをして、発行に必要な期間などを打合せして金額を決める。
実はこの事は僕の頭の中では完全に想定外の話だった・・・「公務員は給料のみで働いているもの。賄賂を請求したりするのは特別な計らいの場合や、悪いヤツがすることだ」という認識がどこかにあったんだろう・・・。まだまだ甘いな僕も(T▽T;) これからは全ての公共施設、公務員の作業には何らかのビジネスモデルがすでに組み込まれていることを、しっかりと頭の中に叩き込んでおく必要があるということを、改めて再確認した。
しかし本当に何でも金・金・金だ。シェムリアップで何日も生活できそうな金が、ささいなことでドンドンとぶっ飛んでいく・・・。申請の写真を撮影するだけで一人4ドル、もちろんこんなのみんなのポケットに消えていってしまうお金だ。一日1ドル以下で生活している人もたくさんいる国だというのに・・・。これこそが格差というものだと思う。
日本で格差がどうこう言っている連中は一度このような途上国に来て、本当の格差がどんなものが見てみればいい。
結局全ての申請作業を終えたのは夕方、その時間から孤児院に戻るのは子供たちの負担も大きいので更にもう一泊する事になる。しかも何故か申請手続きを終えているのにパスポートの代金を受け取ってくれない。朝もう一度持って来いって言う・・・。この時点ではパスポートの受理証や引換証など、一切の書類が手元に無い状態。ここまでの流れから考えても僕は不安を拭い去ることが出来なかった。翌朝、というかようやく昼前になって『パスポート代金を受け取ってもらうために』さらに若干のお金を支払って、やっとのこと帰路に着くことが出来る運びとなった。
「もう全ての手続は完了した。8月4日か5日にはパスポートが発行されるから、今からみんなでシェムリアップに帰ろう!」という、理事長のポンセナの言葉にみんな喜びと安堵の表情を浮かべて帰路に着いた。ところがプノンペンから2時間くらい離れた場所まで差し掛かったときに、僕が受取証や領収証を見せて欲しいと言うと「それは手元には無い、でももう約束してもらったから大丈夫だ、心配するな」という話になった・・・
ここまで散々想定外のトラブルに振り回されて、やっと申請手続きを完了してお金も支払ったのに、その領収証も何も存在しないなんて、そんなもん心配するなという方が無理だろう。