AGRIBUDDYの原点

フェイスブックのコーポレートページは今までHUGSのものしか無かったのですが、今回農業セクター専門で事業を行う部門を分社化することになったので(というか、もうすでに分社化されていたはずだが、いつものザ・カンボジアトラブルで遅れに遅れて今に至っている)、そのコーポレートページを作成して運営することにした。
https://www.facebook.com/hugsagtech

僕自身はカングリッシュ(関西弁訛りの英語らしいw)を話すことと、ネイティブから様々な訛りのある英語までを広く聞き取ること、そしてシドニー・シェルダンレベルの簡単な英語小説を読むくらいの英語力はあるのだけれど、英語を書くという行為がものすごく苦手だ。英文メールを書けばスペル間違いでグーグル先生に単語の下に赤線を引かれまくり、さらに正しいスペルの候補が出てこないくらい全くデタラメなスペリングで単語を書いてしまう。

でも僕たちの事業領域はどちらかというと日本人をターゲットにしたものではなく、広くグローバルマーケットの人々が相手なので、自分の考え方や言いたいこと、取り組みを世間に知ってもらおうとすると自ずと英語での発信が必要となってくる。ぶっちゃけこのように日本語でブログを書いて発信している場合ではないというのが実情だ(笑)でも僕は英語を書くのが殊の外苦手なので、今回からHUGSきっての英語バイリンガルさやか女史に僕のブログの英訳版や上記のFacebookコーポレートページの運営を行ってもらうことにした。

で、このコーポレートページにさやかが投稿してくれたこの写真。
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この写真の地図こそまさしくAGRIBUDDYの原点、ファームマネージャーによる手計測手描きによる農場見取り図だ。ちなみにこれ、それぞれ100ヘクタール(ディズニランド2個分)の大きさがある農場です。それを100メートルくらいしか測れない巻き尺一つで農場内を歩きまわってそれぞれの区画を計測し、こうやって地図にしろとか今から考えるとかなりの無茶ぶりだったと思うけれど、よくちゃんと形にして仕上げてくれたものだと思う。っていうか、歩きまわって測量して手描き地図を作るなんて200年以上前の江戸時代のやり方から何も進化してないよね(笑) もちろん当時から僕たちもGPS計測器を持っていたのだけれど、それで計測したデータをPCに読み込んで地図として組成するというスキルを誰も持ち合わせていなかった。

それが今やこのようにスマホにダウンロードしたAGRIBUDDYアプリを持って歩きまわるだけで、完璧な農場見取り図が作れるようになった。
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そう、これでようやく僕たちの農業も一気に200年の時空を超えて現代のテクノロジーに追い付くことが出来たというわけですね。でもここから次は、時代をリードする立場に向けてさらなる進化をしていかなければならない。そして僕たち自身の手で江戸時代と変わらない作業を行っている途上国農業を変えていきます。

というわけで、日本は年末の御用納めも済んだようですが、みなさま本年もお仕事ご苦労様でした。新しい年がみなさまにとって大きな飛躍の年になりますことをカンボジアより祈念しております。

また新しい年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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FarmLogsが1,000万ドル調達

AGRIBUDDYがベンチマークの一つとして捉えている、アメリカの農業経営支援サービスのFarmLogsが、昨年のラウンドAでの資金調達4Mドル(約4億8千万円)に引き続き、今回のラウンドBで10Mドル(約12億円)を調達したらしい。

http://m.jp.techcrunch.com/2014/12/18/20141217farmlogs-nabs-10m-series-b-from-sv-angel-sam-altman-and-others/

はてさて、いくら位のシェアをこの調達に割り当てたのかはわからないけれど、10%くらいで調達してるんだろうか?ってことはバリュエーション100Mドル(120億円)ってところなのだろうか?いずれにしても素晴らしいことですね。AGRIBUDDYをやっている僕たちにとっては物凄い追い風のニュースだし、このような農業系のサービスがちゃんと世間からの評価を受けて、資金調達ラウンドの時点でバリュエーションが100億円を超えてくるはずだという僕の考えが、ただの妄想では無かったということがこうやって証明されていることが、なによりも嬉しいです。

彼らはアメリカの農家をターゲットしていて、農業のIT化は遅れているけれど少なくともインターネットやコンピューター、スマホが普通に使われている層へのアプローチを行っている。片や僕たちAGRIBUDDYは、ネット回線は整備されているにも関わらずインターネットに接続していない、もしくはスマホを持っているにも関わらずネットに接続したこと無い、Googleアカウントすら持っていないという層にアプローチしている。

僕たちは日々、農村でAGRIBUDDYのインストールを行って使い方の説明をしたりしているのだけれど、間違いなく自分たちが「世界で始めて彼らをインターネットに接続させた」という実感を持ちながら仕事をしている。自分たちが作ったサービスを、世界の誰もがまだ足を踏み入れていない領域に広めていくというのは、確かに困難で手間が掛かる作業でもあるのだけれど、ここから得られる果実は非常に大きいという僕の考えもまた、今後証明されていくことになるはずだ。

さぁ、頑張ろう!

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AGRIBUDDY ベータ版リリース完了!

僕の長男の1歳の誕生日だった昨日、この1年半に渡って試行錯誤しながら開発してきた「途上国向け農業データ管理サービス」AGRIBUDDYのβ版を、Google Playからリリースすることが出来ました。

僕がカンボジアに居を移したのが2010年。その翌年2011年に、現在プノンペン在住でで一緒にHUGSの共同代表をやっている黒川や応援してくれる仲間たちと共に会社をカンボジアで創業した。HUGSで真っ先に取り組んだ事業が農業、農地開墾から始めて大規模農場を運営するという戦略のもと、カンボジアのジャングルの中を走り回って候補地を探し、1000ヘクタール(ディズニーランド20個分)の広さの森林を切り開いて農地にするという事業を開始した。結果は、いかにもカンボジアらしい「全く理解不能だけど、誰にも責任の所在が無いからゴメンね」的な騒動に巻き込まれて、大金を突っ込んで開墾した土地が使えないというとんでもない事態に陥った。

そこで辞めるわけには絶対にいかないので、今度は森林を開墾して農地にするという戦略を変更し賃借出来る大規模農場を探しだして、そこで同じく1000ヘクタール近いキャッサバ農園の運営を開始した。一つの区画を25ヘクタール程度(それでもディズニーランド半分の大きさ)に分割し、全部で数十区画ある農場を数十人のファームマネージャーがそれぞれコントロールしながら、数百人の労働者を使って同時進行で様々な作業をする。農場が大きく区画数も多すぎて色々なレポートを聞いても実際にどこで何がどれくらい行われているのか、わかっても理解出来ないというジレンマに、一体みんなどうやって農場をコントロールしているんだろうという疑問を感じながら運営を続けた。正直な話、自分が自分自身の農場内のどこに立っているのか、正確な位置を把握することすら不可能だった。

そうこうしているうちにタイ東部とカンボジア西部を襲った大雨洪水で、地平線のそのまた向こうまで続くうちの農場も大きな被害を受けて、現場から送られてくるメールはまるでスパムメールの如く何通にも分かれて各区画ごとの被害の様子の写真が添付されていた。

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どの写真もこの写真も全て水没した農場の写真。

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ヒドイことになってるってことは良くわかったが、実際のところどの場所がどれくらい被害を受けたのかわからない。「大変だ、えらいこっちゃ」はということだけはよーく理解できる。でも全然正確な数字やイメージが掴めない。地図を作って状況を把握して報告しろと言ってみたところでこのレベルが限界だった。

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こんなことでまともな事業なんて出来るはずがないと思った。

「どうして誰もこの状態に疑問を持たないんだろう?なんで誰も不便を感じて、これじゃダメだとか思わないんだろう?」

いや、そんなはずはない。なにかイケてるサービスが有るはずだろうと思って探してみた。いくつか僕のイメージに近いようなものが有ったけれど、たいしたこと無い割には利用料金がえらく高かったり、内容が複雑すぎて使う前に学校に通わなきゃならないんじゃないかって感じだったり、どうもしっくり来るものがない。しかも、色々と調べていくうちに、そもそも論として農業の世界はIT化がむちゃくちゃ遅れているということがわかった。IT化が進んでいるとしても、それはそれでいきなり植物工場のような最先端技術を駆使し過ぎていて、完全に別次元の事業の話になってしまっている。

早い話が、イケてる連中が使いやすくてユーザービリティーに優れているようなサービスを構築する土壌が、農業の世界には全く存在してなかった。強いて言えばシリコンバレーで良さそうなサービスは誕生しているが、残念ながら僕たちが農業をやっているような途上国では上手く使えそうにもなかった。なぜかって?先進国と途上国ではあまりにも前提条件が違いすぎるからだ。働く人々の教育水準もモラルも全く違えば、必要とされることもまた違う。しかも先進国ですらイケてるサービスが見当たらない中、インターネットに接続したこともなくスマホもPCも持っていないような途上国の農家向けのサービスなんて存在するはずも無かった。

だったら自分たちで作ればいいんじゃないか?自分たちが困っていることは、他にも同じことで困っている人が絶対に居るはず。こんなままで途上国の人々が行き当たりばったりで、データも蓄積されないような農業を続けていても絶対に生産性が上がるはずもない。誰もやっていないところに新しい仕組みを創造することが出来れば、それはものすごい価値を生むんじゃないだろうか?そうやって構想をスタートさせて生まれたサービスがこのAGRIBUDDYです。

今、ようやく僕たちはスタート地点まで辿り着くことが出来ました。当初は5年でカンボジアでのビジネス立ち上げを成功させて、また他の国に行こうと考えていた僕の目論見は見事に途絶え、成功どころか失敗と絶望と悔しい思いの繰り返しの4年間を過ごしてきました。でも僕のチャレンジは終わらない。また一つ、新しい挑戦の始まりです。さぁ、楽しもう!

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