先日はハノイで農業をやっている市川さんにお会いさせていただいた。母体は西部開発農産という日本最大の大規模農業をやっている会社だそうで、現在市川さんはその会社のベトナム駐在として北部での大規模米栽培計画実行に向け色々と動かれているそうだ。っていうか、日本で最大といっても600ヘクタール超なんですね。取り敢えず100ヘクタールとか言ってしまうカンボジア農業とは色んな意味で大きな隔たりを感じますw
で、市川さんから聞かされて面白かったのは、ベトナムでは乳牛の輸入が急増しているというお話。そもそも牛乳なんて飲んでなかったベトナム人が、近年急に牛乳を飲み始めて国内の生産では全く追いつかないので、現在は牛乳を輸入しまくっていると。でももちろん国内生産することが理想なので、数千頭レベルの乳牛を色々な会社が輸入し始めているそうだ。
僕は以前から一人あたりのGDPの成長と食肉消費量の相関に関して調べていて、非常に手っ取り早い話をすると『人は一定レベルの金持ちになると肉を食い始める』という結果がわかっている。ただしこの場合の金持ちとは、自給自足の暮らしレベルを脱するGDPが5,000ドルから2万ドルまでの人たちのことを指している。経済成長著しいアジアの国々は、ほとんどがこの先10年以内に5,000ドル〜2万ドルのゾーンに入るわけで、これから10年間アジアのことだけを考えたとしてもどうやら大変なことになりそうだ。
ちなみに今のアジアの人口は36億人。僕たちアジア人の年間食肉消費量は一人あたり27キロ(ちなみにGDPの高い日本人だけだと48キロ)。これが10年後にはアジアの人口45億人、そして食肉消費量は35キロまで伸びるんじゃないかと予測されている。
36億人×27キロ必要だった食肉が45億人×35キロ必要になるというんだから、非常にインパクトの大きな話ですよね。
そして僕たちはもちろん『家畜の肉』を食べているわけだけれど、実はその肉となる家畜たちは餌(飼料)を食べて成長している。簡単に言うと僕たちはトウモロコシなどの飼料を肉という形に変えて食べているってことだよね。でもって、この変換効率がものすごく悪い。
牛肉1キロ=トウモロコシ11キロ
豚肉1キロ=トウモロコシ7キロ
鶏肉1キロ=トウモロコシ4キロ
今まではこのような非効率な贅沢は一部の先進国の人達だけのものだった。もし仮にアメリカで生産されているトウモロコシを飼料原料にしないで、人間が食べるようにすれば8億人を養うことが出来ると言われているくらいの量を家畜の生育のために使用している。僕たちはこうやって壮大な無駄遣いをしながら肉を食べるという贅沢を享受してきたんだけれど、これが一部の人の話では無く世界の大多数の人達が同じことを始めるという時代が、今僕たちの生きている現代だ。
市川さんからベトナムの話を耳にした時にも、ああやっぱり国民が豊かになるということは今までの食糧消費事情が大きく変化して家畜の数が増える、という僕の仮説は正しかったなと自画自賛してしまった(笑) そして乳牛の数が急激に増えるということは今まで必要なかった飼料原料が新たに必要になるということだ。そのことについても以前から色々と考えていて取り組んでいたこともあるんだけれど、それについては長くなったのでまた次回に続く予定ですw