結局、妊娠した若い奥さんが「旦那がいつも出張ばかりなのは耐えられない」と言い出して、うちの仕事を辞めることになってしまったスタッフがいたが、彼の実家が先日あちこちに持っていて放置気味になっていた土地の一つを売ったら100万ドル(一億円)のキャッシュになったと言って笑っていた。他にも5箇所くらい同じような土地があるので、推定で後5百万ドル(5億円)くらいの資産があるということになる(笑) ちなみに本人自身は月給300ドル(3万円)で働いていたのだが、奥さんさえ問題なければずっと働きたかったんだけどゴメンってことだった。
で、昨日はうちの農場で住み込みマネージャーをしてくれているソチアットと車に乗っている時のこと。彼が「ここのうちの土地、ずっと放りっぱなしになってるけれど、親は絶対に売りたくないって言ってるんだよね」と言いながら指さしたのは、シエムリアプの中心地からさほど離れていない場所の土地。最近も25万ドル(2千5百万円)で売ってくれって人が来たらしい。ちなみに彼の実家は全く別のもっと中心地に有る。「僕も親にもらって郊外に1ヘクタールの土地持ってるんだよ。でも農場に行ったり来たりで名義変更も何もまだしてないけれど」
えっ?マジ?そうなの?それ、その土地だけで君の年収の数十年分あるやんwwwと思ったけれど、本人は至って農業が好きだから今の仕事をちゃんと頑張って成果だすことの方が大切らしい。なんだかちょっと(いや、かなり)尊敬してしまったよ。
しかし土地ってのは、やっぱり適正な場所に持っていると爆発的に資産が増えるんですね。たったの15年前やそこらは今のパーク・ハイアット・シエムリアプの有る場所なんて、ただの田んぼで誰か二束三文でいいから買ってくれないか?って状態だったらしいのに。今やシエムリアプの土地なんて当時の価格の100倍くらいになっている。僕はそれもまだ、国際空港が近くにあって治安が安定していて外国人が多く住み、世界遺産アンコールワットを要するシエムリアプの土地は安値水準だと思うけれど。
てなわけで、古くからシエムリアプに住む社員の家族たちは、この15年で二束三文だった荒れ地が100万ドルとかの価値を持ちだして、一気に日本基準で見ても富裕層のカテゴリーに入りだしている。その割にはシエムリアプの人々の暮らしぶりが至ってシンプルだし、ソチアットのように安月給できつい仕事をやり続けてくれるような人材が多くいるのも、僕がシエムリアプに魅力を感じる理由の一つなのかもしれない。