孤児院の問題様々

カンボジアの子供達の瞳がキラキラしていて素敵だった、なんていうような話をしている人をよく見かける。 まぁ確かにやつらの瞳はキラキラしているが、たいてい子供なんてよく見てみれば世界中どこの子供だってみんな瞳が輝いているはずだ(笑)

で、この数日そのキラキラ瞳が輝いている子供達の住む孤児院の色々な問題などで、かなりの時間を費やさされていた。

基本的に余り泥臭い話には首を突っ込みたくないので、孤児院に毎日行ってどっぷりと運営にはまり込むような真似は極力避けてはいるのだけれど、なんだかんだとトラブルやイベント事があるたびに必ず呼び出されるハメになる。

今回はクレアから大至急孤児院に来て欲しいと呼び出され、その直後にクレアのことを心配したオーストラリアにいるクレアの親父からもすぐに孤児院に行ってくれないかと電話がかかってきたので、行かないわけにはならなくなった。

なんのことかと駆けつけてみると、要は孤児院を出て行きたいという子供達が謀反を起こしていた。。。

孤児院を出ていってどうするんだという人に少し説明しておくと、うちには全く身寄りが居ない子から片親が近くに住んでいる子まで様々いる。 その中でも身寄りが孤児院の近くに住んでいる子供達は、ちょいちょい自転車に乗って会いに行って、ちょっとした小遣いをもらって帰ってきたりしている。

たまに会いに来ればもちろんカワイイわけで、身寄りの人も優しく接するは小遣いはくれるはで、子供達にとってはいつも『勉強しろ』とか『朝早く起きろ』とかガミガミと怒鳴りつけられる理事長よりも優しくて素晴らしい人ってことになる。

挙句の果てには『理事長は自分のお父さんや親族ではないから自分に厳しく接するんだ』という理論に突き当たったってわけ。 だって本当に優しい人なら親族じゃなくったってクレアみたいに自分に甘く優しくしてくれるはずだから・・・

子供達と友達になってしまっているクレアにも若干の問題点があるんだけれど、これについてはまた後日にでも書こうと思う。

もちろん理事長を始めとする運営者の家族がみんな完璧だとは口が避けても言うつもりはない。 酒を飲んで機嫌が悪い時もあれば、夫婦で殴り合いの喧嘩になったこともある。 勉強に関しては子供達もかなり強制的にさせられる。 子供の世界観ではそんなロクでもない人物はこの世に理事長だた一人しか居ないってことになるんだろう。

言いたいことを全部言わせたほうがいいだろうと思って、子供達50余名を集めてミーティングをしたんだけれど、実際に大きな不満を持っている子は約数名。 『お前たち今の自分がどんなに恵まれているか分かってないんだ』という話をしてみたけれど、勉強したくない怒られたくない出ていきたいという気持ちには変りがないようなので、親族に引取りに来てもらうことにした。

実際問題、親元で生活している普通の家の子供達が12歳やそこらから働き出して、英語なんか全く話せない状況だったりするのに、うちの子供達は英語は当たり前に話せるし、働かずに勉強に遊びに専念できるし、はっきり言って村の子供達よりよっぽどきれいな格好をしている。

翌日なんのこっちゃよくわからずに孤児院に呼び出された親族たちを交え、もう一度子供達を説得することにした。 理由はただひとつ。 今勉強をヤメて親族の元に行くということは、彼らにとって将来の可能性がゼロとは決して言わないが、とてつもなく小さくなってしまうから。

親族も自分のところに来られたって面倒をみることも出来ないし、勉強を続けて欲しいしで必死になって説得していたけれど、それも結局実ることはなく、5名が孤児院での生活に別れを告げる事になった。

そもそも誰も面倒をみることが出来なかったから孤児院で生活することになったのに、もちろん親族の収入が増えたとかで引き取りたいって話なら一番いいんだけれど、それを望んでいないというか望めない生活環境の親族の家に無理やり引きとってもらったところで、何らかの問題が解決されるとは到底思えないんだけれど、まぁこれも彼ら自身の人生、僕にはどうすることも出来ないし仕方がない。

うちの子供達には、前回日本に招待されたことによって、自分たちも努力をすればあんなふうに海外旅行に言ったり、楽しい思いができる可能性があるということを身を持って体験させることが出来たと思ってる。だから今度はその反対を体験させなければ、彼らはいつまでも自分が『恵まれていない可哀相な存在だ』という思いから抜け出せないということが今回のことではっきりと分かった。人間は恵まれた環境の中にいるときにはその事に気がつくことが出来ない。 だからこそ広い視野で客観的に自分の状況を知ることが本当に大切だと思う。

これはもちろん僕自身を含む多くの日本人にも言えることなんだけれど。

次のテーマは自分たちを『可哀相な存在』から『恵まれた存在』へと認識の変化をさせること。 そして恵まれた存在だからこそやるべきことがある、頑張る必要があるということをしっかりと教えたいと思う。 そのためにも寄付に頼った運営をいち早く抜け出させたい。

あぁ、その前に『可哀相なカンボジアの孤児』に会いに来る外国の人々もなんとかしなきゃいけないな・・・

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孤児院の問題様々」への10件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    子供たち、今はわからなくても、きっと
    これからたくさんの苦労をして、オトナになって、
    視野が何段階も広くなった頃に、自分達がどれ
    だけ恵まれていたか身をもってわかるんだろう
    なと思います。
    巣立っていくのも、きっと成長のプロセスの
    一つなのかな。戻ってくるかもしれないし?
    どんなプロセスを経ても、子供達に最善が
    おきますように!

  2. SECRET: 0
    PASS:
    クリスマスが近づいて、親御さんに甘えたい気持ちが引き金になって、心の中に溜まっていたものが爆発しちゃったのかな、という気がしました。
    まだ、教育を授けてくださる孤児院に関わる方達の愛情が分からないんでしょうね。どこかの本で読んだ例えなのですが、子供の時期は「お子様ランチ」の愛情は分かるけれど、「会席料理」」の愛情は分からない、ということなんだろう、と思います。
    私の両親も「愛情は最後に分かればいい」といった感じで私を厳しく育ててくれました。自分が厳しく育てられる中で、もう一方から支えてくれたのは、子供の頃は本でした。まだ、みえない、分からない愛情を辿ってくように感じられるようになるまでの道しるべといいますが、想像力をつけてくれたように思います。
    どこかで、理事長やKENGOさん、その他、孤児院に関わる方達の愛情に気がついて、子供達が孤児院に戻ってきたらいいのになあ、と思います・・・。

  3. SECRET: 0
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    すみません。前のコメント、「道しるべといいますが」になっていますが「道しるべといいますか」の間違いです~。
    (・・。)ゞ

  4. SECRET: 0
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    井の中の蛙、大海を知るになるのかな。。
    村の中で、少数の英語使いならば、それはそれで良い地位がとれる可能性がのかもしれないし。
    人生、イロイロだ。

  5. SECRET: 0
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    >あやめさん
    お子様ランチの愛情はわからないって面白いし分かりやすい例えですね♪
    子供達が孤児院に戻るのは、実はそう簡単な話ではありません。 あくまでも親族身内が子供の育児を放棄している、とかどう頑張っても育てられないといったような事情があるから孤児院で引き取っているわけで、いつでも出入り自由だと無料の寄宿舎になってしまいます。
    そうなると親は手軽に子どもの育児を手放して、無料で教育してもらえることを望んでしまいます。実際に公立学校に行っているのに比べて、外国人教師も常に居ますし明らかに教育レベルが高いのはみんな知っているわけですし・・・
    といったところで、僕も勉強が嫌いでいつも親を困らせた口なので、なんとも偉そうなことが言えないです(笑)

  6. SECRET: 0
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    >JASミンさん
    孤児院に訪れる外国人は必ず彼らの英語を褒めたたえます。 それはある意味当たり前の話で、まさかこんな所にいる子供達が英語を話すとは思っていなかったでしょうし、リップサービスもあるわけですから。
    まさに井の中の蛙ですよね。。。 
    これから、今までの自分がどれだけ守られ恵まれていたのかを知って、次は誰かを守ることが出来る強くたくましい大人になって欲しいと思います。

  7. SECRET: 0
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    誰かを可哀想な人って思うことは、
    相手に対して失礼だと思うんですが、
    それ以上に自分を可哀想って思うことで、
    どれだけ可能性を狭めているかと思うと、
    怖ろしい話ですね(・_・;)

  8. SECRET: 0
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    >みきさん
    そうなんですよ。
    しかも自分を可哀相だと思うきっかけになるのは周囲の大人たちの言動なんです。
    「君たちカンボジア人は貧しくて、さらに孤児だなんてなんて可哀相な・・・」ってな感じで孤児院を訪れる沢山の外国人が寄付をします。
    ここをなんとか変えていきたいと思っています。

  9. ピンバック: 孤児院の問題様々パート2 | 北浦健伍の「僕、カンボジアに住んじゃいました」

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