ユダヤ教とイスラエル

今回一緒にトレッキングに行ったメンバーのうち、村に宿泊するプログラムに参加していたのは僕たちの他にもう一組だけだった。

えらいマッチョな男前とエキゾチックな香り漂うベッピンの組み合わせに、どこの国の出身だろうと思っていたらイスラエル人だった。

この二人イスラエル人であるとともに敬虔なジューイッシュ(ユダヤ教徒)でもあり、日ごろからニュースなどでしかあまり知らなかったイスラエルの実情や、ちょっとオドロオドロシイイメージのあるユダヤ教の話を色々聞くことが出来て、結構面白かったからここでちょっと紹介してみようと思う。

まず世間で一番勘違いされているユダヤ人の定義についてだけれど、実はユダヤ人であるためには国籍や人種は一切関係が無い。

ユダヤ教徒(ジューイッシュ)であることのみを持ってユダヤ人という。

しかも生まれながらのユダヤ人であるためには母親がユダヤ教徒でなければならないから、例えばイスラエルに生まれ育って父親がユダヤ教徒であったとしても、母親がクリスチャンならその人はユダヤ人ではないということになる。

ちなみにユダヤ教は世界で一番信徒になるのが難しい宗教だ。

日本の新興宗教のように勧誘してくれるなんてことは無く、入信したいと言ってからひたすら勉強をさせられ、短くとも10年近くは信徒になるまで時間がかかるそうだ

それも信徒になれたとして、だ・・・以前全然違う人から聞いた話によると司法試験よりもよっぽど難しいらしい。

そもそもユダヤ教の本質自体が学ぶことにあるようで、常に彼らのバイブル(旧約聖書)の本質を解き明かすべく学びつづける姿勢があるからこそ、今日彼らユダヤ人が世界中で強大な力を持つにいたったんだろうと思う。

特にユダヤ人の中でも名家に挙げられる、いわゆる12使途の末裔とされる名字を持つ人の一つがリーバイ家・・・そうリーバイスの創業者だ。

他にも世界的に有名な人を挙げだしたら枚挙に暇が無いくらいたくさんいるのもうなずける話だ。

イスラエルの教育方針もそんなユダヤの教義に基づいていて、義務教育は小学校の6年間とハイスクールの6年間の計12年。

その後は徴兵義務があり男は3年間、女は2年間従軍する必要があるんだけど、今も実際に周囲の国と血みどろの戦争をしている国だから日本の自衛隊に行くのとは訳が違う・・・

常に今、この瞬間に自分が相手を殺して良いのかという問いに答え続けなければならない青春時代を生き抜くことになる。


その後は基本的に1年間くらいの予定で世界を旅するのが慣わしだそうだ。

そして戦争経験を積み世界を旅し、人生についてあらゆることを考える機会を得てからやっと大学に入学する機会に恵まれるっていうんだから、これじゃぁ日本の大学生とはモチベーションが違いすぎて勝てるわけ無いなとか思ってしまった(笑)

以前にも書いたことがあるけれど、海外で政治と宗教の話がタブーだっていうのはかなり間違った考えで、逆にそういった話をせずにどうやって相手を深く知ることが出来るというのかって言いたい。

もし自分が話しをしている相手が自分と違う宗教だからといって、突然こちらをポアしようとするようなやつなら、その時点を持って関わらないほうが賢明だ(笑)

今回の僕たちの会話の中にはパレスチナ問題やアラブ諸国との戦争の問題にも触れて、彼らなりの言い分や意見もたくさん聞いたけど、僕は基本的に戦争に関してどちらの肩を持つ気も無いから、ここでその話題に触れるのはやめておこうと思う。

ちなみにいうと僕は戦争に決して賛成はしないけれど、反対もしないというスタンスを持っている。

というのも人が争うのはある意味自然の摂理だから、僕はその後始末が出来る人間になりたいと思っている。

話は変わってこの彼氏の方、エレズはただのマッチョではなかった。



彼は軍経験を積んだ後、対テロ特殊部隊で働いていて、数々のテロ掃討作戦に従事していたから目の前で相手に爆死されたりしたこともあるそうだ・・・

その後要人警護の任務についてシャロン首相などのSPをしていたそうだけど、これも鳩山首相を警護するのとはちょっと事情が違ってかなり危ない目にあいそうな気がする(笑)

彼女のナマはつい最近まで軍に従事していたらしく年齢は21歳ってことだったけど、英語でしっかりと自分の国の実情や考え方、宗教について語れる(僕なんかよりよっぽど英語が上手い)んだから恐れ入った。

二人に共通していえるのはとても強い正義感を持っていると同時に、自分の正義感を信じて疑わないっていうことだ・・・

全ての彼らの行動は常に聖書に従って行動しなければならない。

逆説的な言い方をすれば、聖書に従った行動をしている限りあらゆることが正義の行動ということになる・・・

ここが一番宗教の危険な点であり、数千年にわたる宗教戦争が終わらない理由の一つでもあるだろう。

世の中に事実は一つしか存在しないかも知れないけれど、真実は人の数だけ存在する・・・

宗教の洗脳というバイアスが、生まれながらにしてかかってしまっている彼らがそのことに気がつく日が来るんだろうか・・・?

残念ながら今の僕にはそのことを伝えるだけの力は無い。

それだけを除けばイスラエルという国は人類の歴史の生き証人とも言える場所がたくさん残されているし、何より現地ローカルの友人が存在するのは訪れるのには最高の環境だ♪

それに僕はこの二人がとっても気に入ったしイスラエルにもぜひ一度は訪れたいと思っていたから、来年にでも二人を訪ねて遊びに行こうと思っている・・・そしてそこでもっと世界の真実を見て来たいと思っている。

最後にもっとも印象に残ったことは、イスラエル人は負けても良いけど絶対にギブアップしてはいけないそうだ・・・

それを21歳の女の子が真剣な目つきでとうとうと語る姿を見ていると、いやはや何ていうか根本的に我々とは違うなぁって思って、ある意味サパの少数民族と触れ合っているよりよっぽど異文化交流になったような気がした(笑)

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