そういえば昔テレビの番組でアンコールワットへの道とかいう企画を、ドロンコかなんかいう奴がやっていて、ぬかるんだ凸凹道をきれいにしていたっけ。
でもカンボジアの土って粘土質だからあんなことしても無駄だし、それより何よりアンコールワットの近所にさすがにあんな道は無かったような・・・(笑)
やっぱテレビだね♪
いやぁしかし、今回のエベレストへの道は本当に大変だった。
なにより一番問題だったのは、僕と長江さんが山をなめていたってことだと思う。
わりに体力には自信があるほうだし、高山病なんていうのは体調が悪いとか体の弱い人がなるもんだ、位に思っていたから、今回の強行日程については反省しなければならない・・・
ガイドも無茶だって言ってたし(笑)
シガツェにはタシルンポという名前の大きな寺(というより寺町)があり、ここにパンチェン・ラマというダライの次に偉い人が住んでいる。
主のいないポタラ宮と違いここにはしっかりと主が存在しているからなのか、今も生き続けている信仰の場という雰囲気がありありだった。
この大仏も奈良のものよりさらにでかく、世界で一番大きな仏像だそうだけど、チベットっていうのは西遊記に良く出てくる土地のせいか、この異国情緒ありすぎなタシルンポ寺の街角から、突然猪八戒が飛び出してきてもさして驚かないような気がした(笑)
そしてシガツェにてエベレスト入山許可証を発行してもらい、約350キロ離れたエベレストベースキャンプのある町ルンボクを目指すことになる。
今日が一番きつい一日になる、とガイドに脅されながら出発した。
途中までは本当にしっかりと舗装されたきれいな道なんだけど、最後の150キロは全く未舗装のガタガタ道。
高山病の頭痛を抱えている僕たちにとっては、拷問にも等しい道を延々3時間以上走り続ける・・・
ちなみに標高5000Mっていうと、立小便をしているだけでめまいがしてくるくらい空気が薄い。
本来はそれに体を徐々に慣らさなければならないので、どうしても日程のかかる旅行になるらしい。
そしてようやくたどり着いたルンボクは、町なんぞでは無かった・・・
宿泊施設はテント、もしくはボロボロのゲストハウスしか存在していない(笑)
他には何も存在しない。
テントのほうをお勧めする、というガイドの意見を聞くことにした時にはすでに長江さんは完全にグロッキー状態。
僕も少し体を動かすたびに酸素ボンベを吸わないと息がつらく感じるし頭も痛い。
頭痛もさることながら、けっこう胃が気持ち悪いなぁとか思っていたけれど、昨日までは何か食べると症状がましになっていたので、チャーハンを作ってもらって半分ほど食べた。
あらゆる本に高山病の症状がある時は飲酒やタバコは絶対に駄目だと書いているんだけれど、このテントホテルの主とガイドがビール飲んでいるのがあまりにも絵になっていたので、僕もちょっとだけご相伴にあずかることにした。
やはり本が言っていることが正しいと判明したのはその少し後、みんなが横になってからだった・・・
どうやってもこうやっても胃が気持ち悪くて寝られない、胃薬を飲んでも全然改善される様子も無い。
外の空気を吸おうとテントの外に出た瞬間にやっぱり吐いた・・・
でもこれで楽になるだろうと思って床についたが、やっぱり横になると気持ち悪い。
結局1時間ほど我慢しては表に出て吐くということを明け方までに10回くらい、吐くものが無いのに繰り返す羽目になってしまった。
でもそんな状況にもかかわらず、真っ暗闇のこの標高から見た星空は冗談かと思うくらいきれいで、馬鹿でっかいオリオン座(僕はこれしか知らない)を見たときには、日本で見るより5倍はでかいんじゃないかとか、半泣きになりながらも思ったりした・・・
こうなったら頼れる薬には全て頼ろうと、胃薬に高山病の薬、鎮痛剤に正露丸と色々なものを飲みまくったおかげで、どれが効いたのかはさっぱりわからないけれど朝起きたときには症状が大幅に改善されていた♪
テントホテルからベースキャンプ行きの特別バスに揺られてさらに15分、やっとこさベースキャンプに到着した。
今はアタック待ちの人々が居らず、テント村が設営されていなかったけれど、ここからさらに富士山1つ分くらい登るっていうことは僕には全く想像がつかない世界だ。
あの山の頂上に僕の手で日本の国旗を立てる日は、絶対に来ないなぁと思いながらエベレストを後にした(笑)
僕は元々秘境の旅のパンフレットを見て、タフな旅行がしてみたいとか思っていた口だから、今回その夢がかなったわけだけれど、どちらかというと満腹でおなかいっぱいになりすぎて当分いらない。
だから、もっと他にもタフな旅があるとか秘境がどうこうとかいう情報は、僕には一切必要ありませんのであしからず♪
最後にガイドからのメッセージ
「次に誰か日本からチベットに来たいという人がいれば、最低でも1週間は時間を取ってください。命にかかわります」