北朝鮮という国家の成り立ち

そんなわけで、地球上で最もミステリアスな国の一つと言っても過言ではないと思われる、北朝鮮に行って来ました。IMG_2868

入国してからもツアーガイドがずっとマンツーマンで張り付いていて、日程管理や行ける場所も全て予め決められている。その他にも「各部屋に盗聴器が仕掛けられているらしい」なんていうようなもっともらしい噂もあったりしていたので、空港ではツアーガイドという名の公安部員や工作員のような、キツい目つきの人たちが僕たちの到着を待っているのだろうなと思っていました。IMG_2858

平壌路線の出発地となる北京空港からは数名の「北朝鮮(金日成)バッジ」を胸に付けた人々と共に、数多くの欧米人や日本人が飛行機に乗り込み、僕の想像以上に北朝鮮に渡航しようとする人が多くてビックリしたのですが、それにも増して僕を驚かせたのは実際に空港で僕たちを待っていたツアーガイドの方々の、あまりにも普通、いや、むしろ素朴で優しそうな感じに思いっきり肩透かしを食らった感じがしました。

えーっと、ここで北朝鮮国家の成り立ちを簡単に説明したいと思います。っていうか、これがわかると色んなことが理解できるようになりました。まず1910年に大日本帝国政府は当時の大韓帝国首相と調印を交わして韓国を併合し、朝鮮半島は正式に日本の一部となります。しかし、もちろんそれに韓国の国民全てが大賛成で有ったわけもなく、一部の不満分子はゲリラ戦などを通して日本政府に対して独立運動、いわゆる抗日闘争を続けます。その抗日闘争の英雄の一人、僕たち目線で考えると「反政府ゲリラ」のボスの一人こそが北朝鮮建国の父、金日成です。

結局日本は1945年の8月に連合国軍に敗戦したのですが、その時に朝鮮半島の支配権を失います。そして抗日闘争を行っていた人たちにとっては「とうとう日本を打ち負かした」という事実に結びつき、経緯はどうであれ再び自分たちの手元に朝鮮半島の支配権を取り戻します。特にソ連から近い朝鮮半島北部はソ連政府の覚えがめでたかった金日成が掌握していき、反対にソ連の進出を恐れたアメリカ政府は自分たちの息の掛かった李承晩をトップに据えて38度線で国を分割統治することをソ連に提案し合意します。

なので、北朝鮮という国家の歴史の始まりは抗日武装闘争にこそあり、日本人のことをよく思っていないだとか、反日だとかいうようなレベルでは無い、ということです。

その後、この38度線を挟んで朝鮮半島全土を破壊し尽くした朝鮮戦争が勃発し、最終的にはこれ以上戦争が大きくなってヨーロッパでの東西問題に飛び火させたくない米ソの思惑によって停戦合意がなされるのですが、これも北朝鮮政府に言わせると「あの最強のアメリカ軍を撃破した」となっています。そう、彼らは大日本帝国を40年に及ぶ武装闘争の末打ち負かして独立を勝ち取り、アメリカとその傀儡政権である「南朝鮮」を撃破し謝罪を受け入れて停戦合意をしてやった最強の国家である、という筋書きの上に成り立っています。

ちなみに彼らの中には韓国という国は存在しません。あそこは南朝鮮で、アメリカ帝国主義者の言いなりになっている傀儡政権と、それら邪悪な者達に騙され支配されているかわいそうな同胞が住む場所です。そしてそれら哀れな同胞たちを救うために金日成主席の提唱した主体思想と社会主義を推し進めるために、一致団結して戦い続けるのだ、とそのように教えられている人々が2000万人暮らしている国、それが北朝鮮(彼らは「共和国」と呼んでいる」です。

次回は、金ファミリーに対する国民の崇拝について書いてみたいと思います。

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